« home »

入浴中の事故8割は、ヒートショックではなく、じつは熱中症が原因!

ヒートショック

ヒートショック事故は、ドンドン増えている

消費者庁も毎年冬場になると「ヒートショックには気をつけましょう」と啓蒙しています。しかし、一向に減らないのが現状です。

入浴中のヒートショック事故、10年間で1.7倍に

厚生労働省の人口動態統計によると、家庭のお風呂で溺死した数は、4,866人。平成16年と比較して10年間で1.7倍にも増加しています。

その内の9割が、65歳以上の高齢者で、特に7割以上が増加しています。

※1:人口動態統計から「W65 浴槽内での溺死及び溺水」と「W66 浴槽への転落による溺死及び溺水」のうち外因の発生した場所を
示す細分類「.0 家(庭)」を集計した。「厚生労働統計協会ホームページ」に公表されている数値を用いた。
※5:東京都福祉保健局東京都監察医務院のホームページに公開されている「東京都 23 区における入浴中の事故死の推移より過去 10
年間 (平成 16 年~平成 25 年) の月当たりの平均件数」から作図した(小数点第一位以下四捨五入)。

欧米に比べてヒートショック事故死は多い

WHO(世界保健機関)の発表によると、65歳以上の高齢者の湯船での溺死者数は、、、

  • 日本 → 19.0人
  • フランス → 3.5人
  • アメリカ → 1.5人
  • イタリア → 1.1人
  • イギリス → 0.5人 ※人口10万人中

日本の湯船での溺死者数は、突出した数字になっています。およそフランスの5倍。アメリカの13倍。イタリアの17倍。イギリスにいたっては、なんと38倍にもなります。

WHO(世界保健機関)の発表、65歳以上の高齢者の湯船での溺死者数

年間約19,000人が、ヒートショック死

厚生労働省の研究班の調査では、年間約19,000人が、ヒートショックで死亡しているというデータを発表しています。さらに、ヒートショック事故死は、冬場になると多くなります。12月から2月にかけてが多く、全体の5割を占めます。

お風呂好きの日本人だから多いヒートショック事故死

なぜこのように日本人は、欧米に比べてヒートショック事故死が多いのでしょうか。それは、日本人のライフスタイルが原因です。だって、私たち日本人は、お風呂が大好きですからね。

普段元気な人で、持病もない人が、ヒートショック事故に

消費者庁は、毎年のようにヒートショック事故が増える時期になると以下のような注意を喚起します。

  1. 入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
  2. 湯温は41度以下、湯に浸かる時間は10分までを目安にしましょう。
  3. 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
  4. 食後すぐの入浴、またアルコールが抜けていない状態での入浴は控えましょう。
  5. 精神安定剤、睡眠薬などの服用後の入浴は危険ですので注意しましょう。
  6. 入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。

本来、この6つの注意事項を守っていれば、[ヒートショック事故死]なんて起こるわけがないと思われます。

それも闘病中の方とか持病を持っている方がほとんどならまだしも理解できますが、普段元気な人で、持病もない人が、38%もいるのには驚きです。

普段元気な人で、持病もない人が、ヒートショック事故に

この原因を紐解いてくれた人物がいます。

入浴中の事故8割は、ヒートショックではなく冬の熱中症が原因だった

入浴中の事故8割は、ヒートショックではなく冬の熱中症が原因

お風呂好きの日本人だから、浴槽で溺死するのは仕方ない。と片付けられない情報があります。千葉科学大学の危機管理学部 医療危機管理学科の教授で医師でもある黒木 尚長教授の調査です。

ヒートショックではなく、事故の8割は冬の熱中症が原因

昔から、入浴中にのぼせることはよくあることであり、、、

  • 救急搬送されるほとんどが浴槽内で死亡している。8%しか助からない

高齢者で入浴中に具合が悪くなった人は、【1割程度】で、救急車を呼ぶほどでもなかった。その、、、

  • 8割が、熱中症の症状
  • わずか7%が、ヒートショックの症状

ヒートショックと熱中症の違いは

夏場に多い「熱中症」ですが、黒木教授の調査だと8割がヒートショックではなくて「熱中症の症状」が出ているといいます。

■熱中症とは体温の上昇で体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなるなどし、めまい、頭痛などの症状を起こす。

気温や湿度により、室内でも発症する。「軽症」「中等症」「重症」の3段階に分類され、重症だと意識障害、けいれん、手足の運動障害がみられる。
■ヒートショックとは急激な温度差がもたらす体への悪影響のこと。冬場の入浴時に暖かい部屋から冷えた脱衣所や浴室に移ったり、高温の浴槽に入ったりした場合、急な寒暖差で血圧が乱高下し、血管に負担がかかる。その結果、脳卒中や心筋梗塞などの急性疾患が起きるとされる。

湯上がり時も急激な血圧の低下により、脳貧血が起きることがある。
熱いお湯のお風呂が好きな日本人はヒートショックでなく熱中症

消費者庁のデータをみると、、、

  • 35%の人が42度以上の熱いお湯に浸かっていて
  • 10分以上お風呂に浸かっている人も3割以上

これは、いくら注意喚起されてもこれだけの割合の人が、【42度以上の熱いお湯で、10分以上お風呂に浸かって】いれば、いくらなんでもおかしくなります。

お湯の温度を41度で、入浴時間が30分以下なら入浴中の事故は激減する

お湯の温度を41度で、入浴時間が30分以下なら入浴中の事故は激減する

【42度以上の熱いお湯で、30分以上お風呂に浸かって】いれば、人間の身体はどうなるでしょうか。

  1. 40℃以上の体温になり意識を失う
  2. 42.5℃以上で心室細動がおこり死亡する

この症状は、どうみても【熱中症】です。実際には、ヒートショックで救急搬送されることはまずないそうです。

結論、ヒートショック死ではなく、熱中症死亡です

いままでは、こんな注意喚起がされてきました

  • 浴室で溺死するケースは、動脈硬化などの持病を持っている人がほとんど
  • 寒くて縮まった血管が入浴することで広がる
  • 心臓に負担がかかり、心筋梗塞などの発作を起こす
  • 冬場や冷え込んだ時は危険、温度差ができないように工夫を
  • 急激な温度変化が、高齢者の脳や心臓によくない
  • 脱衣場と浴室は暖房器具などで暖めて
  • 浴室は22℃以上が目安

しかし、くり返しますが、症状は、どうみても【熱中症】

夏場の熱中症対策とどうように、熱くなった体温を下げるために木陰にいき安静にするのと同様に、

・体温を下げるためにお風呂から出て体温を下げること
・水分と摂り、塩分やミネラルを補給すること

やっぱり
ヒートショックは、ミネラル不足










ではでは。

タロ

久永 広太郎(ヒサナガコウタロウ)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。