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肺がんは、臓器別ガン死亡率1位。そして肺がんは転移しやすい癌でもある。なぜこんなにも死亡率が高いのか?

タバコ

肺がんは、我が国では臓器別がん死亡数1位という驚異!

前回の記事では、肺がんの特徴的なデータを取りあげました。

喫煙率が56%も減少しているにもかかわらず肺がんはうなぎ登り、さらに60代移行は肺がんの罹患率が急上昇していること

また、、、

タバコを吸わない女性の肺がんが急増しており、肺の細い血管から罹患する肺がんが50%以上を占める

という驚きの記事でした。

日本での肺ガンはがん死亡数でトップ。喫煙者が減っているのに肺ガンが増えている不思議とは。

タバコを吸わない女性の肺がんが急増している

2020年には約7万5600人が肺がんの犠牲に

一昔前は、胃ガンがガン死亡率のトップでしたが、1998年には肺がんが第1位になりました。

それから、、、

肺がんの死亡率は、どんどん高まり22年後には約7万5600人が肺がんの犠牲に

男性約5万3200人(死亡率第1位)
女性約2万2300人(死亡率第2位)
がん研究振興財団:がんの統計2022, 2022年3月, p15.
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))

肺がんの5年生存率は30%と厳しい数値

現在では、肺がんになると5年生存率は30%と高くなりましたが、、、

肺がん末期のステージⅣでは、5年生存率が6.8%と極めて厳しい数値

になっています。

肺がんのステージ別の5年生存率

肺がんは、他のガンに比べて再発しやすい癌だといわれています。

  • ステージⅠ:77.9%
  • ステージⅡ:48.0%
  • ステージⅢ:25.1%
  • ステージⅣ:6.8%





これは、、、

肺がんが、転移しやすい癌であること。完治させる確実な治療法がない

という理由が大きいです。

全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告
(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書
病期
(ステージ)
5年生存率
小細胞肺がん非小細胞肺がん
Ⅰ期
(ステージ1)
44.7%84.1%
Ⅱ期
(ステージ2)
31.2%54.4%
Ⅲ期
(ステージ3)
17.9%29.9%
Ⅳ期
(ステージ4)
1.9%8.1%

教えて肺がんのこと:肺がん患者の統計より

 





肺がんは転移が多い、油断できないガンである。

肺は、特に重要な臓器です。

これは、、、

肺には、たくさんの血管やリンパ管が張り巡らされていること。

また、、、

肺からほかの臓器や部位に広がりやすいこと。

肺がん患者は、再発・転移が多いのが特徴

ガンの再発や転移とは、、、

再発手術などの治療の結果、一旦検査で確認できるがんがなくなった後に、体内に目に見えない小さながんが残っていて、それが再び大きくなってあらわれること
局所再発最初のがんと同じ場所あるいはごく近くに再発した場合のこと
転移または遠隔転移がんが初めにできた場所から血液やリンパの流れにのって離れた部位に移動して定着し、そこで増殖したがんが出てくること
肺転移肺葉または反対側の肺に転移を起こすこと
がん性髄膜炎
または
髄膜がん腫症
脳および脊髄の保護のために存在する髄膜にがんが転移した場合のこと
播種がんが近接する体内の空間(胸腔や腹腔)に顔を出した場合、そこからがん細胞が胸腔や腹腔にはがれ落ち、散らばるように広がること
悪性胸水肺がんでは胸腔内にがんが散らばるように広がる胸膜播種を起こすことがあり、その結果として胸腔にがん細胞を含んだ胸水がたまる場合のこと
肺がんインフォナビ:再発・転移より

また、、、

肺がん患者のうち、30~40%に骨転移が起こるといわれており、骨転移が起こった場合5年生存率は、およそ7%という残念な低い数値になっています。

肺がんの転移しやすい場所とは

肺がんの転移とは、、、

肺がんの転移とは
がん細胞が血液やリンパ液の流れにのり、他の臓器に移動し増えるために起こります。
肺には、たくさんの血管とリンパ管が張りめぐらされているため、がんが他の臓器に広がりやすい。
肺がんが転移しやすい場所反対側の肺、脳、骨、肝臓、副腎、リンパ節
教えて肺がんのこと:肺がん患者の統計より

転移するということは、どういう仕組みか

肺は、血流が多く他の臓器からの血液も流入しやすい場のなので、交差点のような臓器です。

以下、東京慈恵会医科大学付属:柏病院のホームページに詳しく解説してありますので転載します。

東京慈恵会医科大学付属:転移性肺がんの基礎知識より

転移とは
がんの細胞は異常で、制御や規則なしに分裂します。がん細胞はまわりの組織に侵略し破壊します。
また、がん細胞はかたまりから分離して、血流またはリンパ系に入り、血流およびリンパ系を通じて体の他の部分に広がる可能性があります。
これはがんが元のかたまりから体の他の部分に新しいがんを形成することです。
このようにしてがんが体の1つの部分から別の部位へと広がることを転移と言います。

さらに、、、

転移したがん細胞は元のがん細胞と同じです。大腸がんや乳がんが肺に転移しても肺がんの細胞になるわけではなく、大腸がんや乳がんの細胞のままです。

なお、、、

リンパ系とは細菌や他の病気と戦う白血球を作り、蓄えて、運ぶ組織と器官です。リンパ系は、骨髄(こつずい)、脾臓(ひぞう)、胸腺(きょうせん)、リンパ節、そしてリンパ液と白血球の流れる細い管です。
この管は網目のように、体中のすべての組織に入ります。
リンパ液とは、けがをしたときにでる黄色い液体です。

転移性肺がんとは
大腸がんや腎がんの細胞は血液に入り他の場所に移動して、そこで成長を開始します。これが転移(てんい)です。がんの治療が複雑で難しいのは転移を起こすためです。
がん細胞は血液に入り心臓に戻ります、その後肺に入ってガス交換を行い、今度は全身に流れていきます。がん細胞の多くは肺を通過するので、肺への転移がしばしば経験されます。これが転移性肺がんです。

ここで重要なのは、、、

大腸がん細胞は肺に転移しても肺がん細胞にはならないことです。

転移性肺がんのでき方とは

転移性肺がんのでき方とは
大腸がんや腎臓がんのがん細胞は、がんから剥がれてリンパ管に入り流れてリンパ節に達し、リンパ節転移を起こします。また、がん細胞はがんから剥がれて血管に入り血液とともに体内を流れ、体の他の場所に転移を形成します。



以上のように、肺は重要な役割を担いつつガンという危険な疾病とも闘っているのですね。

これは、、、

身体中を巡っている血液が心臓に貫流し、その後、肺に流れ込んでガス交換を行いまた心臓に還る。

という役割の上に危険性が高いのだと思われます。

 





ではでは。

 





参考にしたサイト
四国がんセンター:肺がん
教えて肺がんのこと:肺がん患者の統計
ドクターブック:肺がんのステージと治療
新座志木中央総合病院:ガンの疫学
肺がんインフォナビ:再発・転移
東京慈恵会医科大学付属:転移性肺がんの基礎知識

 





 





 





 





タロ

久永 広太郎(ヒサナガコウタロウ)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。