インドの綿花農家でも悲惨な[遺伝子組み換え種子と農薬]問題が発生しいた
このところシリーズで『遺伝子組み換え』問題を取りあげています。
前回では、、、
GMコーンに踊らされたフィリピン農家の実態をレポートしました。
その前には、アルゼンチン農家の健康被害の様子を記事にしました。
この[遺伝子組み換え種子と農薬]の問題は、世界中で起きています。
このインドで起きた[遺伝子組み換え種子と農薬]情報は多少古いですが、私たち一般消費者は決して忘れてはならない問題なので記事にしました。
モンサント社が起こした様々な問題は、現在でも尾を引いています。
現在のモンサント社(ベトナム戦争で散布された枯れ葉剤の製造メーカー)は、2018年6月にドイツの製薬化学企業であるバイエルに買収され、企業名は消滅し、その買収額は660億ドル(約7兆2000億円)。世界最大の農薬・種子メーカーとなった。
バイエルは、モンサントおよび遺伝子組み換え作物(GMO)へのネガティブなイメージと距離を取ろうとしており、モンサントの名前を消すことを戦略の一部としています。
日本では、問題を起こした除草剤のラウンドアップの商標権、生産・販売権は日産化学工業が保有しています。
インドの綿農家で起きた災害は、フィリピン、アルゼンチンとパターンは一緒
インドの綿は、ほとんど小さな農家が栽培しています。
一生懸命働いて綿を生産しても、インドの平均所得に見たいない農家がほとんどでした。
しかし、綿の収穫量は、中国1位、アメリカ2位、インドが3位という収穫量は少ない。
理由は、2つ。自然環境で干ばつが多いのと害虫が多いこと。
そんな現状の農家に、、、
遺伝子組み換えワタ(通称:Btワタ)を売り込みます。
それは、夢のような話でした。
従来品種のワタの栽培を行った農業生産者に比べて収益が118%増加。
収量が64%増加し、殺虫剤散布にかかるコストが25%減少する
それは、、、
1エーカー当たり4キンタル(1ベール以下=約180キログラム)から、5倍の20キンタル(4.5ベール=約900キログラム)にまで増える
という当時の綿農家からすれば信じられない収穫高でした。
ただし、、、
その種子は、普通の種よりも2.5倍もする高価なもの。
しかし、、、
インドの綿農家の人々は、現状を打破するためにこの[遺伝子組み換えワタ(通称:Btワタ)]に飛びつきます。
遺伝子組み換えワタ(通称:Btワタ)導入後のこと
2002年以降、インドの農民たちは、モンサントの罠にはまりました。
これは、アルゼンチンやフィリピンと同じケースです。
残念ながら、インドの綿農家では遺伝子組み換え(GE綿)は、当初モンサント社の宣伝文句のようには生産できませんでした。
平均収穫高は1エーカー当たり1.2キンタル(約63キログラム)にしかならなかった・・・
宣伝にあった4キンタルを越えたところはどの農家もなかった・・・
さらに辛いことに、、、
平均収穫高は1エーカー当たり1.2キンタル(約63キログラム)にしかならなかった・・・
また、、、
遺伝子組み換え(GE綿)から生産された繊維は質も低くかった・・・
そして、結果的には、、、
例年1キンタルにつき86ドルで売れたものが、1キンタルにつき36ドルでしか売れなかった
さらに追い打ちをかける農薬問題(ラウンドアップ)
モンサント社は、ベトナム戦争で散布された枯れ葉剤の製造メーカーでしたが、除草剤ランドアップでも世界に知られた企業でした。
綿は、多くの農薬を使用します。
それは、以下のことからも分かります。
綿花農場は世界中の農地の2.5%に過ぎないにもかかわらず、綿栽培には世界の殺虫剤使用量の16%が使われている
ということ。
インドの低所得農家の人々の多くは、識字率も低く、農薬についての知識も持ち合わせていません。
また、、、
農薬散布時に防護服など入手できない小規模農家が多いのが現状
ですから、アルゼンチン同様に健康被害が多く発生しています。
綿花栽培に従事している農民の中に皮膚が黒くなったり、集荷後の土地を牧草地にしてそれを食べた羊や山羊が死亡することなどが起きており、人体への影響が心配されています。
安藤株式会社:私達の思いより
悲しいことに多くの農民は現実を抜け出す別の道を選んだ。
2002年以降、インドの農民たちは、モンサントの罠にはまり、平均で30分に1人の割合で自殺している。
そしてその多くは「ラウンドアップ」を飲んで命を終えているのである。
国連大学ウェブマガジン:モンサント社の綿花事業における失態より
インド、オーガニックコットン(有機栽培)の取り組み
最後にインドの有機栽培(オーガニック)コットンの取り組み情報です。
JFTC:インド・オーガニックコットン・プロジェクトについてより(抜粋)
農薬や化学肥料を使用せず、有機肥料で育てられた綿花がオーガニックコットンです。
オーガニックコットンには第三者認証機関によって定められた厳格な基準があり、この厳しい基準を守った栽培を3年以上続けて初めて「オーガニックコットン」として認証され表示することができます。
汚染された土地には農薬が残っているため、そこから有機肥料などによって土壌作りから始め、自然本来の力で育つようになるには最低3年かかるのです。
そして、、、
本プロジェクトはインド中南部のテランガナ州にある人口約2,000人のナガルドッディ村からスタートしました。
きっかけは国際協力NGOのACE(エース)からの相談でした。問題は児童労働の温床となる綿花農業の実態で、一時的に児童労働をやめさせても、根本を解決しないとまた戻ってしまうということでした。
そこでこのプロジェクトを立ち上げ、遺伝子組み換えをしていない種の提供、有機農法の技術支援、有機農薬・肥料・除虫剤の製造方法供与、収穫された綿花のプレミア付き買い取りなどを実施しました。
さらに、、、
農家の現実に寄り添い、経済的な側面だけでなく技術面など、より具体的かつ現実的な方法でサポートしようと踏み出した一歩でしたが、その後は試行錯誤の連続でした。
まず従来の農法を大きく変えることになり、農家の皆さんに理解してもらうことに苦労しました。
それでも少しずつ提携農家が増え、オーガニック認証を受けた農地も広がってきました。
ではでは。
参考にしたサイト
JFTC:インド・オーガニックコットン・プロジェクトについて
安藤株式会社:私達の思い
国連大学ウェブマガジン:モンサント社の綿花事業における失態
スパ:インドで農民の自殺が増えている。原因は「遺伝子組み換えワタ」!?
WIRED:遺伝子組み換え綿はインドの農民を救うか
natureダイジェスト:遺伝子組換え作物の真実
Failure of GMOs in India
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flickr by Ray Witlin
あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。 |