ヒートショック死の5割は冬場に集中。
12月から2月までの3ヶ月が危険度マックスに
例年、この時期に集中して死亡者が増えるヒートショック。
毎年この時期にはヒートショックの危険性を訴えるために記事にしてきました。
年間約19,000人がヒートショック死
交通事故死よりも多い「ヒートショック死」ですが、
消費者庁でも以下のような記事を出し警鐘を鳴らしています。
高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は高い水準で推移しており、近年では「交通事故」による死亡者数よりも多くなっています。
発生場所としては、家や居住施設の浴槽における事故が多く、11月~4月の冬季を中心に多く発生しています。事故を防ぐためには、高齢者本人だけでなく、家族の方など周りの方も一緒になって入浴習慣を見直すことが大切です。
11 月 26 日は「いい風呂」の日です。
これから冬にかけて、家の中でも冷え込みや温度差が生じやすく、事故が起こりやすい季節です。この機会に、安全に入浴するための以下の点について確認しておきましょう。
消費者庁:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!
そして、ヒートショック死を防ぐ方法として以下の5つをあげています。
- 入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
- 湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安3にしましょう。
- 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
- 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
- 入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。
持病がなくても38%の人がヒートショック死の犠牲に
以下のグラフは、去年の記事の「入浴中のヒートショック事故は熱中症です。10年間で1.7倍に増加」でもご紹介したものです。
このグラフで注意すべき点は、、、
ということ。
12月から2月に集中するヒートショック事故
以下のグラフは、「都市生活研究所」が1年の平均気温とヒートショック事故との関係を釣査したものです。
このグラフを見ると一目瞭然ですが、、、
12月、1月、2月の3ヶ月に「ヒートショック死」が集中
しています。
一般的に「ヒートショック死」は、以下のように注意喚起されています。
冬は、住宅内で暖房をしていない脱衣室や浴室では、室温が10度以下になることが珍しくないため脱衣室で衣服を脱ぐと、急激に体表面全体の温度が下がり、寒冷刺激によって血圧が急激に上がります。
この血圧の急上昇が、心筋梗塞、脳卒中を起こす原因のひとつとされています。
さらに、一度急上昇した血圧は、浴槽の温かい湯につかることによる血管の拡張で、反対に急激に低下します。
この急激な血圧低下が失神を起こす原因となります。
この注意喚起は、ニュースでもよくいわれていること。
いわゆる、、、
寒暖差による急激な血圧上昇が「ヒートショック死」を招いている
と、いうものです。
寒暖差による「ヒートショック死」の予防とは
全国的に「ヒートショック死」の割合をみていくと、、、
不思議なことに南北両端の北海道と沖縄県が明らかに発生件数が少ない
ということが分かっています。
これは、、、
ヒートショックは外気温の低さだけが引き金になるだけでなく、
外気温が低くても住宅内の環境温度条件が保たれれば、
入浴中に心肺停止状態に陥ったり、
突然死する可能性は十分抑えられる。
日本ガス石油機器工業会:ヒートショックの恐るべき実態より
と、いうことになります。
ようは、、、
ということ。
では、「脱衣所と浴室の寒暖差を無くす」には、どのような工夫があるのでしょうか。
シャワーを活用する | シャワーから出る熱湯が浴室内をくまなく暖めるので浴室に入っても急激な寒暖差を抑えられる |
夕食前や日没前に入浴を済ませる | 日没前は、比較的気温が高いので寒暖差をカバーできるし脱衣所も比較的気温が高い |
お湯の温度は、41℃に設定する | 裸の状態で寒いからといって、お風呂の温度を高めに設定すると寒暖差が大きくなり「ヒートショック死」のリスクが高まります。 |
さらに常識的な範囲ですが、、、
- 食後や飲酒後の入浴は控えること:食後や飲酒後は血圧が上下しやすくリスクが高いです。
- 1人での入浴は避ける:独居の方は仕方ないですが、家族がいる場合は「ひと言:お風呂に入る」と告げることで「ヒートショック事故」のリスクを下げられ、早急な処置が見込まれます。
- 暖房器具の設置など:寒暖差を防ぐために脱衣所に簡易な暖房器具を設置する家庭も増えています。
これが真実!
「ヒートショック死」の原因は熱中症だった
世界保健機関(WHO)によると、日本人の「ヒートショック死」は、先進国ではずば抜けて多いことが判明しています。※人口10万人中
- 日本 → 19.0人
- フランス → 3.5人
- アメリカ → 1.5人
- イタリア → 1.1人
- イギリス → 0.5人
この驚く結果は、単純に日本人は「お風呂が大好き」ということになります。
「ヒートショック死」の原因は熱中症
2019年2月15日の「総合危機管理学会(SIMRiC)通信」において、千葉科学大学 危機管理学部 医療危機管理学科 教授・医師 黒木 尚長氏によるコラムが注目を集めました。
それは、、、
という驚くべき事実。
また、、、
ということ
さらに、、、
以上のことは、、、
前段の寒暖差による「ヒートショック死」と大きな隔たりを感じます。
黒木 尚長教授は、こう続けます。
毎年のように、「冬季に多発する入浴中の事故にご注意ください!」と消費者庁は注意を促し、マスコミも「ヒートショックに注意しましょう。熱い湯に注意しましょう」と新聞やテレビやラジオの中で、頻繁に取り上げられている。
でも事故は減らない。
高齢者が増加しているのが原因だと思われているからであろうか。
2019年7月5日の経済新聞に黒木教授の記事があります。
引用すると、、、
黒木氏は29年12月、65歳以上の男女3千人を対象にインターネットで入浴に関するアンケートを実施。
入浴中に具合が悪くなった人は10・8%に上り、症状などから熱中症が62・2%、熱中症の疑いが22・0%だった。
ヒートショックの疑いは入浴前後を合わせても7・1%にとどまった。
これは、ビックリするないようです。
それは、、、
ということになり、、、
入浴での事故の8割は熱中症だということ
になります。
気温や湿度により、室内でも発症する。「軽症」「中等症」「重症」の3段階に分類され、重症だと意識障害、けいれん、手足の運動障害がみられる。
その結果、脳卒中や心筋梗塞などの急性疾患が起きるとされる。湯上がり時も急激な血圧の低下により、脳貧血が起きることがある。
以上のことから分かることは、、、
日経新聞の記事から黒木教授の言葉を引用すると以下のようになります。
この結果、入浴中であっても重度の熱中症の症状が出て、意識障害を生じるリスクが高まる。そのまま入浴を続け、体温が42・5度を超えれば突然死することもある。
これは、、、
入浴中に死亡するケースとは、熱中症の症状が出て意識障害を起こし意識を失い入浴中に死亡する
ということになります。
ですから、、「ヒートショック事故」を防ぐには、熱中症対策が必要になってきます。
熱中症対策は、、、
- 体温を下げるためにお風呂から出て体温を下げること
- 水分と摂り、塩分やミネラルを補給すること
ミネラルの重要性については、以下の記事を参照してください。
ではでは。
参考にしたサイト
消費者庁:冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!
日本ガス石油機器工業会:ヒートショックの恐るべき実態
経済新聞:高齢者入浴中の事故、熱中症8割超 ヒートショックは1割未満
あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。 |