熱中症救急搬送者数、死亡者数増加が止まらない
以下のグラフは、東京都環境局のデータです。

このグラフから分かることは・・・
熱中症で救急搬送される人々は年々増加している
ということ。
また、、、
熱中症に犯される危険度は、8月9月も予断を許さない
ということが、分かります。
ですから、、、
熱中症対策は、しっかりと把握しておかなければなりません。
熱中症対策は、水分補給だけでは逆効果
「こまめな水分補給を」とテレビでは聞かない日はありません。
が、、、
お水だけ飲んでいれば良いわけではありません。
それは、、、
大量に汗をかくと[水分とナトリウム]が同時に失います。
すると、、、
水分だけを補給すると、血液中のナトリウム濃度がさらに薄まる
のです。
血液中のナトリウム濃度下がると
低ナトリウム血症を引き起こす
水分補給だけを繰り返すと、血液中のナトリウム濃度がさらに薄まり、低ナトリウム血症を引き起こすのです。
血中ナトリウム濃度が、135mEq/L未満になると「低ナトリウム血症」と診断されます。
低ナトリウム血症の症状は・・・
血液中のナトリウム濃度が、下がると・・・
軽度(130 mEq/L程度) | 倦怠感、頭痛、吐き気、ふらつき、集中力の低下 |
中等度(125 mEq/L以下) | 筋肉のけいれん、意識混濁、せん妄 |
重度(120 mEq/L以下) | けいれん発作、昏睡、呼吸停止、死に至ることも |

熱中症は、水分と電解質バランス異常
熱中症対策で、水分補給だけの対策は危険ということが分かっていただけたと思います。
では、、、
熱中症を発症し救急車で搬送された場合に応急処置される点滴の中身は何でしょうか?
それは、、、
生理食塩水(0.9% NaCl)です。中身は、水と塩化ナトリウム(NaCl 0.9%)
また、、、
リンゲル液(乳酸リンゲル液/酢酸リンゲル液)。中身は、Na⁺(ナトリウム)、K⁺(カリウム)、Ca²⁺(カルシウム)、Cl⁻(クロール)、乳酸または酢酸

ナトリウム | 細胞外液に多く存在し、体液の浸透圧や水分量、血圧の調整に関与します。神経や筋肉が刺激を伝達する際に不可欠です。 |
カリウム | 細胞内液に多く含まれ、心臓の拍動や筋肉の収縮、神経伝達を調整する役割があります。ナトリウムとともに浸透圧を維持する役割も担います。 |
マグネシウム | 骨や歯を作るほか、酵素の働きを助け、エネルギー代謝や神経・筋肉の機能に関わります。 |
カルシウム | 骨や歯を構成する重要なミネラルで、筋肉や神経の働きに関わるほか、血液の凝固にも役立ちます。 |
クロール | 細胞外液に多く存在し、ナトリウムとともに浸透圧や水分バランスを調整します。胃酸の成分にもなります。 |
リン | 主に細胞内に存在し、骨や歯の構成要素となります。エネルギー代謝や細胞膜の構造維持にも不可欠です。 |
生理食塩水とは
生理食塩水とは、人間の血液や組織液とほぼ同じ浸透圧の塩化ナトリウム水溶液のこと。
生理食塩水の濃度は0.9%で、体に負担をかけずに使用できる洗浄・輸液用液体として広く利用されています。
生理食塩水の用途 | 生理食塩水は人体との親和性が高く、さまざまな用途に用いられています。生理食塩水の主な用途は以下のとおりです。 |
注射液の溶解希釈剤 | 注射液などの溶解や希釈に生理食塩水を使用します。注射・点滴の薬剤による血管の炎症リスクを抑える効果があります。 |
輸 液 | <細胞外液欠乏が起きた際、生理食塩水そのものを体内に注入し、輸液として使用します。輸液は、皮下・静脈内注射もしくは点滴によって注入します。/td> |
創傷面や粘膜、皮膚、医療用器具などの洗浄 | 生理食塩水は鼻洗浄やカテーテルの洗浄などにも使われます。創傷面・粘膜・皮膚に対しては、湿布に用いる場合もあります。 |
ということは、、、
生理食塩水は、体内の水分と同じような成分なので、体内に入れても負担が少なく取り込みやすいのです。
これは、涙液と同じです。
涙液のpHは、一般的に7.0~7.4であり、点眼薬は涙液のpHに近いほど不快感や刺激感はほぼありません。
pH | 涙液には緩衝性があり、pHが多少異なった液を点眼しても大きな変化は発現しないが、著しく異なったpHになると眼粘膜に刺激を与える。眼粘膜に刺激のないpHの範囲は、4.8~8.5である。 |
浸透圧 | 涙液の浸透圧は血清と同じ0.9w/v%塩化ナトリウム液と等張である。点眼薬の浸透圧は、涙液とほぼ等張であることが望ましい。高張または低張の場合、角膜損傷を起こす。 |
イオン | 金属イオン、それと結合する酸イオンは、組織内に侵入して知覚神経末梢を刺激する。 |
添加物 | EDTAや塩化ベンザルコニウムは、局所刺激性がある。 |
バランスの良い経口補水液は、飲みすぎても大丈夫
経口補水液は、カラダに優しいということが分かりました。
また、この経口補水液を飲み過ぎても大丈夫です。
というのは、、、

経口補水液の作り方
- 材料
水 1リットル
砂糖(上白糖) 40g(大さじ4と1/2杯)
塩 3g(小さじ1/2杯)
お好みでレモン等の柑橘果汁 - 作り方
1.1リットルの水に、砂糖40g、塩3gを混ぜて溶かす。
2.お好みでレモンなどの柑橘類果汁を加えるとすっきり飲みやすくなります。

経口補水液とスポーツドリンクとの違いは?
経口補水液とスポーツドリンクは、何が違うの?
と、よく勘違いされます。
その違いは?
スポーツドリンクは、経口補水液よりも塩分が少なく糖分が多くなっているから
です。
これは、、、
スポーツドリンクが糖分が多い理由として、飲んだ時の口当たりを良くするため。
また、体液に近い浸透圧(水に溶けている糖分・塩分の濃さ)にすることで体内へ素早く吸収し、身体の疲労・回復を助けため。
なのです。
そして、経口補水液は、、、
経口補水液はスポーツドリンクと比べて糖分は少なく塩分が多い。
理由として、素早く水分・塩分の補給を行える。ミネラル補給を優先しています。
ではでは。
参考にしたサイト
総合東京病院:経口補水液の使用法と作り方
福岡県薬剤師会:点眼薬のpHは、刺激感と関係があるか?
東京都環境局:熱中症による救急搬送・死亡者の状況
![]() | あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。 |