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低栄養が招く、感染症、ビタミン欠乏、微量元素欠乏による免疫低下とは[風邪引きと免疫4]

IgA

低栄養は、感染症などに罹患し免疫力を低下させる

猛暑だった夏から季節が移り変わり、急激に気温が低下して風邪などの感染症にかかりやすくなりました。

免疫力低下による「風邪引き」をはじめ免疫についてこの記事では、紹介しています。

風邪にかかるウイルスの数は、200種類以上

季節の変わり目には風邪を引きやすい。原因の9割は、ウイルス。その数200種類以上。[風邪引きと免疫1]

免疫抗体「igA」を増やすことで感染症予防

免疫抗体「igA」を増やすことが異物による感染から体を守る[風邪引きと免疫2]

ビタミンD不足は、ウイルス性急性上気道炎に罹りやすい。

ビタミンD不足の日本人は、ウイルス性急性上気道炎に罹りやすい。[風邪引きと免疫3]

など、紹介してきました。

今回は、先進国でも起こる「栄養不足によって引き起こされる感染症、ビタミン欠乏、微量元素欠乏による免疫低下」について検証していきたいと思います。

先進国でもまれではなく
起こっている栄養不足

世界の死亡原因の一番は、「若年層による飢餓での死因」といわれています。

途上国の人口の30%以上が飢餓や低栄養の状態にある

と、いわれています。

しかし、先進国でも低栄養が深刻な問題になっています。

アメリカでは外来患者の最大15%、長期療養施設入所者の25~60%入院患者の35~65%は低栄養状態にあります。

栄養不足が、風邪などの感染症を引き起こす

日本内科学会雑誌第108巻第11号:低栄養患者における感染症より

栄養不足が、風邪などの感染症を引き起こす

栄養不足は、感染症を引き起こします。

たとえば、、、

5歳未満の死亡原因の50%以上は、栄養不足による感染症

だといわれています。

さらに、、、

微量栄養素の欠乏は、成長不良、知能障害、死亡率の上昇、感染症への感受性の上昇など

病気のリスクを高めています。

さらにいえば、、、

妊娠中の栄養不足は、赤ちゃんが感染症にかかりやすく免疫力も低いのです。

そして、、、

栄養不足は、悪性腫瘍・消化管疾患・肝硬変・末期腎不全・HIV等の慢性疾患・敗血症などを引き起こすリスクが増大します。
高齢者の低栄養も感染症にかかりやすい

栄養不足による免疫力低下

当然ですが、栄養不足による免疫低下をまねきます。

それは、、、

低栄養状態では、細胞性免疫が低下する他、自然免疫・液性免疫・サイトカイン産生の低下・生体バリア機構の脆弱化

などが、引き起こされます。

サイトカインとは
サイトカインとは、ホルモン様の低分子タンパク質。
細胞同士の情報伝達作用を持ち、特異的な受容体に結合することで、免疫反応の増強、制御、細胞増殖、分化の調節などを行

看護ルー:サイトカイン(cytokine)より


ビタミンや微量元素欠乏と感染症

栄養不足によって引き起こされる主な感染症は・・・

  • 肺炎
  • 細菌性・ウイルス性下痢
  • 麻疹
  • 結核 など
項目欠乏による影響欠乏により生じる疾患補充療法により得られる効果
ビタミンA リンパ組織:萎縮
Tリンパ球活性:低下
IFN-γ産生:低下
NK細胞活性:低下
好中球の貪食能:低下
抗体産生:低下
気道や消化管粘膜機能:低下
下痢
マラリア
麻疹
呼吸器疾患
慢性耳感染
(主に途上国の小児において)
総死亡の減少
下痢の発症,死亡の減少
麻疹の発症,死亡の減少
マラリアの発症,死亡の減少
ビタミンDマクロファージ機能:減弱結核
歯周病
上気道炎
肺炎
結核治療に有用?
インフルエンザや下気道感染の発症抑制?
亜鉛好中球,NK細胞の機能:低下
補体活性:低下
Tリンパ球,Bリンパ球数:減少
抗体産生:低下
(主に途上国の小児において)
下痢の発生と死亡の減少
肺炎の発症と死亡の減少
マラリアの発症と死亡の減少
細胞性免疫:低下
好中球殺菌能:低下
NK細胞活性:低下
NK細胞数:減少
IFN-γ産生:低下
不明感染予防のエビデンスは乏しい
ビタミンE高齢者での上気道炎の発症抑制

高齢者の栄養不足による
感染症のリスクとは

「風邪は、万病のもと」といわれ、古くから風邪引きからのさまざまな疾病にかかり、最悪は死亡に至るとも言われています。

それは、どういうことかというと・・・

もともと高齢者は、基礎疾患を持っている方が多く・・

  • 年齢を重ねることでの食欲のかげり
  • 鬱病や認知症などによって引き起こされる心の病
  • 咀嚼能力の低下

などが、原因となり・・・

高齢者は、栄養不足になり免疫力が低下しやすいのです。

高齢者が、このような栄養不足になると、、、

高齢者の栄養不足は、風邪などの感染症の罹患や身体機能の低下を引き起こします。

高齢者の栄養不足は、風邪などの感染症の罹患、身体機能の低下を引き起こす。

食欲不振が引き起こす
感染症のリスクと免疫力の低下とは

栄養不足は、体の健康の維持を損ない、免疫機能を著しく低下させます。

それは、、、

栄養不足が続くと、エネルギーとともに、ビタミン、ミネラル、タンパク質などが不足し免疫力が低下

します。

タンパク質不足免疫細胞(抗体や白血球など)はタンパク質で構成されています。タンパク質が不足すると、免疫細胞の生成が妨げられ、感染症に対する抵抗力が低下します。
ビタミンA、C、D、Eの不足これらのビタミンは免疫反応を促進し、抗酸化作用を持つため、感染から体を守るのに役立ちます。特にビタミンDはウイルスや細菌への抵抗力を高め、ビタミンCとEは抗酸化作用で体内の炎症を抑えます。食欲不振でこれらのビタミンが不足すると、体が感染症に対して十分に対応できなくなります。
亜鉛と鉄分不足亜鉛と鉄分は免疫細胞の生成や働きを助け、特に亜鉛は抗体の生成に関与しています。食事からこれらが不足すると免疫機能が低下し、細菌やウイルスへの抵抗力が弱まります。
腸内フローラの変化食欲不振が続くと、食物繊維や発酵食品などが不足し、腸内の善玉菌が減少することがあります。腸は免疫の要でもあるため、腸内フローラが乱れると全身の免疫機能が低下しやすくなります。
しっかり食べて、免疫力を高めて感染症予防しましょう。

 





ではでは。

 





参考にしたサイト
日本内科学会雑誌第108巻第11号:低栄養患者における感染症
NIH(アメリカ国立衛生研究所):栄養と感染の相互作用
看護ルー:サイトカイン(cytokine)
腸内細菌学会事務局:サイトカイン(cytokine)

 





 





 





 





タロ

久永 広太郎(ヒサナガコウタロウ)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。