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99%除菌するトリックとは。抗菌製品は、宣伝と仮説が科学に勝った成功例。抗菌除菌のカラクリ。

99.9%除菌のウソ COVID-19

「菌を99%除去」を謳う広告や商品に対し、政府や公共団体は

ドラッグストアやスーパーやコンビニに行くと、、、

除菌スプレーを吹きかけるだけで「菌を99%除去」

などの商品が所狭しと陳列されています。

ドラッグストア

やっぱり多くの人々が本当に「菌を99%除去」を疑問視しています。

このことについて、日本広告審査機構さんがホームページで記事にしていました。
ちょっと長い文章ですが、有益な記事なので掲載させてもらいます。
除菌スプレーを吹きかけるだけで「菌を99%除去」とうたえるの?

公益社団法人日本広告審査機構の記事から〜

質問者
除菌スプレーのテレビCMを見ました。
このCM中で女性が「ウイルスにかからないか心配」などと言っていて、さも当該商品にウイルス除去効果があるように謳っています。
ホームページを見たところ、この商品には銀やシリカが配合されているようですが、本当にウイルス除去効果があるのか疑問です。さらにCM中で紹介している使用方法は1スプレー分を物に吹きかけるだけであり、拭きとったり浸したりはしていません。
そのような方法で本当にウイルス除去の効果があるとは思えません。
今の時期、皆が新型コロナウイルスに感染することを心配していると思います。問題ではないですか。
担当者
苦情申し立てを受けてJAROから商品を販売しているA社に照会したところ、当該商品は雑貨であり、医薬品・医薬部外品ではないとの回答でした。そのため、特定ウイルスに効果があるとはCM中では言っていないし、殺菌や消毒とも言っていないということでした。また、除菌や抗菌についてはCM内で言っていますが、エビデンスも持っており、根拠のない表現ではないという回答でした。
 医薬品医療機器等法では、身の回り品の除菌・抗菌については、医薬品等ではなく雑貨であっても広告して問題とはなりません。また、その効果に根拠を持っていなければ優良誤認として景品表示法に抵触するおそれがありますが、広告主はエビデンスを持っていると言います。
 JAROには検証能力はありませんが、このA社からいただいたエビデンスをみると、効果の実証方法が気になりました。当該CMでは「一吹きするだけで雑菌を99%除去」とアナウンスし、さらに画面に「99%以上除去!」と大きく文字を表示していました。しかしいただいたエビデンスでは「試料をそれぞれ滅菌シャーレに入れたペーパーDiskに10プッシュ添加した」とあり、この試験はシャーレの中で当該商品に菌を浸した状態で行われたものでした。CMで紹介されている「エレベーター、トイレ、マスク、買い物かご、つり革」などにワンプッシュする、という使用方法で行われた試験は資料にはありません。景品表示法では、合理的根拠は「表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること」が求められるので、CMと同様の使用方法での除菌効果試験の結果を保有するべきなのではと思われます。

A社には、今回提出された資料が、CMで推奨された使用方法で、物への99%以上の菌を除去する根拠となり得ない場合には、景品表示法に抵触するおそれがあることを伝えました。

 このCMで「ウイルス」と言ったのは一度だけで、効果についても除菌をいうのみでした。しかし視聴者は新型コロナウイルスと関連づけてご意見を寄せられます。多くの人が感染への不安を持つ中で、便乗ではないかとの広告へのご意見がJAROにも多く寄せられますが、これもその一例といえるでしょう。

菌を99%除去の広告の何が問題なのか

A社の回答をよく見ていくと不可思議な点がおおくあります。

たとえば、、、

  1. 当該商品は雑貨であり、医薬品・医薬部外品ではない
  2. 特定ウイルスに効果があるとはCM中では言っていない
  3. 殺菌や消毒とも言っていない
  4. エビデンスも持っており、根拠のない表現ではない

当該商品は雑貨であり、医薬品・医薬部外品ではない

私たち一般人には、医薬品や雑貨といわれてもCMで流れていれば「ウイルスには対抗できているんだ」と単純に信じてしまいます。

そこで、「ヨシダ製薬」さんのホームページに雑貨では、問題ないということの説明があったので紹介します。

市販されている消毒薬の分類

消毒薬には、薬事法により承認されている医薬品及び医薬部外品があります1)。

医薬品は医療用医薬品と一般用医薬品に分けられ、医療用医薬品は「医師もしくは歯科医師によって使用されまたはこれらの者の処方せんもしくは指示によって使用されることを目的とした医薬品」をいい、一般用医薬品は「医療用医薬品として取り扱われる医薬品以外の医薬品」をいいます2)。

薬事法ではこれらの各区分ごとに品質、有効性、安全性を確保するための規定が設けられており、承認区分によって審査事項のレベルが異なります2)3)4)。

すべての面において、最も厳格な審査を受けているのは医療用医薬品であり、次が一般用医薬品、最も緩やかな審査を受けているものが医薬部外品です。

また、消毒ではなく除菌を目的とした製品として、薬事法による承認を受けていない雑品(雑貨)も販売されています。

表.医薬品、医薬部外品、化粧品、雑品の薬事的な相違点
 医薬品医薬部外品化粧品雑品
医療用一般用
薬事法による承認あり※1あり※1あり※1あり※3なし
規格及び試験方法承認規格※2承認規格※2承認規格※2社内規格※3社内規格※4
生物学的同等性の審査ありなしなしなしなし
安定性の審査ありありなし※5なしなし
消毒の効能表示不可不可
副作用被害救済制度※6対象対象対象外対象外対象外

ヨシダ製薬:薬事的な観点から見た消毒薬の選択方法

要するに、、、

雑品(雑貨)であれば、試験方法も社内規格でよいし、消毒の効能表示もしなくて良い。ということ

です。


さらに、、、

副作用被害救済制度も対象外

ということは、、、
大雑把に表現すると、

雑品(雑貨)であれば、なんでも通用する

感じがします。

特定ウイルスに効果があるとはCM中では言っていない

新型コロナウイルスが蔓延している最中に『菌を99%除去』を訴求するCMを観たら誰でもウイルスに対して効果があるように思ってしまいます。

ですが、、、

残念なことに「新型コロナウイルス」に対して効果があるとは言っていない

というトリックがここに存在します。

99.99%って、もはや100%です

殺菌や消毒とも言っていない

ヨシダ製薬の表からすると、雑品(雑貨)であれば「消毒の効能表示」は不可なので消毒のことに関して広告で謳わなくても良いことになります。

また、このブログでも「細菌とウイルスの違い」を記事にしました。

抗生物質は、風邪には効きません。細菌とウイルスの違いをしっかり把握しよう。





「細菌とウイルスの違い」は、、、

細菌は、生き物であり、ウイルスは、生き物ではない。
細菌は、細胞を持っておりエネルギーを生産して細胞分裂して増殖する生き物。
ウイルスは、細胞がなくエネルギーを生産せず、自力で動くことができず、単体で増殖できない。

ということで、菌を殺すと表現していないので問題ないということなのです。

が、、、しっくりきません。

エビデンスも持っており、根拠のない表現ではない

ヨシダ製薬の表で、雑品(雑貨)「規格及び試験方法は社内規格」で大丈夫ということ。





さて、多くのメーカーはどのような実験方法を行っているのでしょうか。

あなたの体は9割が細菌」を紐解くと、、、

以下は、抗菌剤入りの石けんの話ですが

メーカーは99.9%の細菌を殺すと宣伝するが、それは人間の手や調理台でテストした結果ではない。そのテストは、大量の細菌を直接、液状石けんで観たいした容器に入れて一定時間ーーあなたが手洗いをする時間よりもずっと長い時間ーー放置した場合にどれだけ細菌が生き残っているかを調べている。

あなたの体は9割が細菌:190頁
長い時間放置して試験をやっている

さらに、「あなたの体は9割が細菌」は、以下のように続きます・・・

抗菌剤入りの石鹸が殺している細菌を明記している商品はない。

あなたの体は9割が細菌:191頁

99.9%というのは実験容器の中で生き延びなかった個体の割合であって、世の中の細菌の99.9%を取り除くことができるという意味ではない。

あなたの体は9割が細菌:191頁




また、重要なことですが、、、

病原性細菌の多くは有毒な化合物と接触したら芽胞を形成し、危険が過ぎるまで休眠できる
ということは覚えておいて欲しい。

あなたの体は9割が細菌:191頁

ということは、、、

「除菌スプレーをかけても芽胞して生き延びる」ことができている

ということになります。

あなたの体は9割が細菌」は、こう断言しています。

抗菌製品は、宣伝と仮説が科学に勝った成功例だ

あなたの体は9割が細菌:191頁

 





皮膚のまわりで細菌やウイルスの侵入を防ぐシールドのようなマイクロバイオータ

私たちの暮らしはあまりにも「衛生的な暮らし」を重視しすぎています。

衛生的な暮らしを望むあまり、除菌などの言葉に敏感になりすぎているようです。

以前、「ウイルス感染予防に、薬用を使ってもたいした効果はありません。いま改めて知ろう。除菌、殺菌のこと。」という題名で記事にしましたが厚生労働省の見解では「手や指」に対して効果があるのは2つだけでした。

  1. 水および石鹸による洗浄
  2. アルコール消毒液

新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)

方法モノ手指現在の市販品の薬機法上の整理
水及び石鹸よる洗浄
熱水×
アルコール消毒液医薬品・医薬部外品(モノへの適用は「雑品」)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(塩素系漂白剤)
×「雑品」(一部、医薬品)
手指用以外の界面活性剤
(洗剤)

(未評価)
「雑品」(一部、医薬品・医薬部外品)
次亜塩素酸水
(一定条件を満たすもの)

(未評価)
「雑品」(一部、医薬品)
亜塩素酸水
(未評価)
「雑品」(一部、医薬品)

※薬機法上の承認を有する製品が一部あり、そのような製品は手指消毒も可能。
※一部、食品添加物に該当する製品があり、食品衛生法の規制がかかる場合があります。




そしてこれも重要なことですが、、、

たくさんのメーカーが出している「消毒ハンドジェル」は、一つの工場(コスモビューティー)だけで作られています。

薬用ハンドソープの殺菌剤は菌には効いてもウイルスには効かない!

ウイルス感染予防に、薬用を使ってもたいした効果はありません。いま改めて知ろう。除菌、殺菌のこと。」を参照してください。

皮膚を覆う保護層マイクロバイオータのこと

何万年も生き延びてきた人類には、細菌やウイルスと闘うために皮膚のまわりにもう1枚シールドのような保護層が存在しています。

それは、、、

微生物叢(マイクロバイオータ)。
このマイクロバイオータは、腸内環境を整える役割があったり、全身の皮膚や、口腔、鼻腔、肺胞などの呼吸器系粘膜。
そして、食道・小腸・大腸などの消化器系、また子宮・膣・膀胱・尿管などの泌尿器系など、外部につながる管の粘膜に常在して人体を外敵から守っています。

マイクロバイオータは、細菌や微生物が人体に侵入するのを防いでいるのです。




ですから、、、

アルコール消毒液などで手などに存在するマイクロバイオータを消滅させると、常在菌が元の状態に復活するまでに最低でも3日はかかる

のです。

常在菌の復活に3日もかかります




ですから、、、

厚生労働省でも伝えているように抗菌・除菌には普通の石鹸による水洗いが最適

なのです。

また、、、

マスク着用によって、7割の子どもが身体と精神に影響を受けている

こと。

ドイツのヴィッテン・ヘァデッケ大学の研究結果では、『マスクによる恒常的な酸素欠乏状態に陥っている』という報告





そして、、、

消毒をよくさせる家庭には、肥満児が多い

とか

過剰な消毒によって、喘息になるリスクが増大している

などということも覚えておく必要があります。

呼吸器を使う子ども
過剰な消毒によって、喘息になる人が増加

除菌のし過ぎで肥満になるかも|無菌生活と肥満の危険性について:より

 





ではでは。

 





 





 





 





タロ

久永 広太郎(ヒサナガコウタロウ)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。