今さら聞けない「遺伝子組み換え作物」の実験に結果について
「遺伝子組み換え作物」とか「遺伝子組み換え(GMO)」ってよく耳にします。
特に有名なのは、トウモロコシです。多くの加工食品にトウモロコシが使われています。
たとえば、、、
家畜飼料 | 遺伝子組み換えトウモロコシは家畜の飼料として幅広く使用されており、肉、卵、および乳製品の生産に影響を与え、畜産業における重要な飼料となっている。 |
食用油 | 遺伝子組み換えトウモロコシは食用油の原料として利用されています。 食用油はさまざまな加工食品に使用され、コーンオイルには、遺伝子組み換えトウモロコシから製造されることがあります。 |
調味料および添加物 | トウモロコシ由来の調味料や添加物(例:トウモロコシスターチ、トウモロコシプロテイン)は、食品加工業界で使用されています。 |
トウモロコシ製品 | 遺伝子組み換えトウモロコシそのもの。トウモロコシを主成分とする製品に使用されており、トウモロコシ缶詰、トウモロコシの冷凍食品、トウモロコシ粉末、トウモロコシフレーク、トウモロコシチップスなどが含まれます。 |
トウモロコシシロップ | 高果糖コーンシロップは遺伝子組み換えトウモロコシから作られることがあり、多くの加工食品やソフトドリンクに甘味料として使用されています。 |
また、トウモロコシ由来のエタノールはアルコール飲料の製造にも使われています。
まず最初に結論を。。。
「遺伝子組み換え作物」「遺伝子組み換え(GMO)」を取りあげる前にハッキリしておきたいことは、「遺伝子組み換え(GMO)」は、身体に良いのか悪いのかという問題は賛否両論あり、科学的にも現在研究中
なのです。
だから、、、
食生活において「子供を守れるのは親だけ」だということをしっかり念頭に置いてほしいです。
遺伝子組み換えトウモロコシを2年間ラットに与えた実験。
ラットは、乳がんや脳下垂体異常、肝障害を発症した。
世界に衝撃を与えたフランスのカーン大学教授・セラリーニ氏らの研究グループによる論文です。
「ラウンドアップ除草剤並びにラウンドアップ耐性遺伝子組み換えトウモロコシの長期毒性(Long term toxicity of a Roundup herbicide and a Roundup-tolerant genetically modified maize)」(*1)は、発表されました。
1:Gilles-Eric Séraliniら「Long term toxicity of a Roundup herbicide and a Roundup-tolerant genetically modified maize」(Food and Chemical Toxicology2012)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691512005637
この、、、
実験で使われたトウモロコシは、市場に広く出回っている除草剤耐性遺伝子組み換えトウモロコシ(NK603)。実験に使われたラットは、200匹。
ラットの寿命に相当する2年間の歳月をかけて行われました。
以下の表にあるように分類して実験しました。
- A群~C群を試験群
- 比較対象の基準となるD群を対照群
除草剤をかけて実験した理由は、、、
遺伝子組み換えトウモロコシのほとんどは大量の除草剤を使用するので、実験にも必須なものだからです。
実験結果は、以下の写真が示した通りです。
ラットの頭と同じぐらいの腫瘍ができました。
この写真で分かるように、論文が発表されるやいなや大反響が起きたのです。
また、多くの反論や指摘や批難が起きました。
たとえば、、、
欧州食品安全機関(EFSA)や日本の食品安全委員会は、この論文に示された試験設計や結果の分析には明らかに不備があり、セラリーニ氏らが導いた結論はデータによる裏付けがない。
バイテク情報普及会:よくある質問 – 検証編より
どちらを支持するかは、読者にお任せします。
引きつづき実験結果を・・・
遺伝子組み換えの餌を食べた雌は、多くが乳がんなどの腫瘍できた。
下のイラストは、ラットのオストメスに発症した腫瘍の違いです。
- 実験群の雌の5割~8割に腫瘍ができた。
- 対照群の3割とは明らかな差が認められた
- 試験群の腫瘍は対照群よりも2~3倍も大きくしかも腫瘍ができる時期も違う。
普通の遺伝子組み換えではないトウモロコシを食べたラットは、晩年期に腫瘍が発生しています。
これは、人間と同じで高齢者になると腫瘍ができるのと同じで、いわゆる自然の流れだと分かります。
ですが、、、
遺伝子組み換えトウモロコシと除草剤をしようした試験群では、若くして腫瘍が発生しています。人間でいうと30代から40代の中年層にアタリます。
ですから、、、
遺伝子組み換えと除草剤をしようしたトウモロコシを食べると若くして癌などの腫瘍が発生することが分かります。
次に雄の肝臓と腎臓の状態を観てみましょう。
肝臓と腎臓は、「解毒器官」です。主に肝臓で分解されて腎臓から尿として排泄されます。
この実験で、雄の肝臓と腎臓の状態が普通の遺伝子組み換えではないトウモロコシを食べた群と大きな差が出ました。
- 肝臓のうっ血や壊死が、対照群と比べ2.5~5.5倍と多い。
- 重度の腎臓障害も1.3~2.3倍と驚く障害が発生。
さらに、驚くべきことは・・・
試験群のラットの寿命です。対照群の平均寿命が雄で624日、雌で701日に比べ非常に短命だっとこと。
それは、、、
平均寿命に達する前に死んだのは、、、
対照群では雄20%、雌30%しかいなかったのに対し、試験群では雄50%、雌70%と短命だったのです。
遺伝子組み換え実験に対するセラリーニ研究への批判が殺到
仏カーン大学セラリーニ氏のグループによる実験研究は、当然といえば当然のように批判が起こりました。
たとえば、、、
- 200匹というラットのサンプル数はしっかりした実験を行うには少なすぎる
- 実験に使われた”SDラット(Sprague-Dawley)” は腫瘍ができやすい
- 結果をよく見ると、遺伝子組み換えトウモロコシを与えられたラットのオスにおける腫瘍の発生は、参照グループよりも総合的に多いわけではない
- ラットに与えられた餌の具体的な構成内容に関する情報が少なすぎることを科学者達は指摘する
- ラットが摂取した遺伝子組み換え食物量は人間が摂取するものよりはるかに多い
- 研究を公表した “Food and Chemical Toxicology” はアメリカではさほど評価の高い媒体ではない
- ジル・エリック・セラリーニは反遺伝子組み換え活動家として知られており、自分に都合の良い実験結果を作り出した
- 研究チームは癌の専門家ではなく腫瘍については無知だ
- 再鑑定が必要だ
遺伝子組換えの毒性、批判への回答:仏オプセルヴァトゥール誌より
これに対し、仏カーン大学セラリーニ氏はことごとくしっかりと反論しています。
それは、以下のような反論です。詳細情報は、遺伝子組換えの毒性、批判への回答:仏オプセルヴァトゥール誌より参照してください。
グループごとに20匹、計200匹というサンプル数は、モンサント自身が三ヶ月の期間で行った実験に使ったラットの数と同じです。私達はしかもモンサントよりも毒性パラメーターを多く使用しました。さらにラット数を増やすにはもっと資金が必要でしたが、この研究にはすでに3,200万ユーロ掛かっています。
世界中の毒性研究で使用されているラットの系列でもあります。このラットのメリットは生物学的また肉体的に安定していることです。すべての固体がほとんど同じ体形、同じ体重を持つのです。モンサント社も含め、遺伝子組み換え作物を製造する企業が当初から研究に使用してきたのもこのラットです。そして事実は私達の目前にあるとおり、ラウンドアップとの組み合わせの有無に関わらず、遺伝子組み換えトウモロコシを与えられたラットには、より多くの発病が観察されたのです。
使用したNK603トウモロコシの量は、遺伝子組み換え食品の販売が自由で、表示義務のないアメリカ大陸の住民が生涯摂取する量に匹敵します。そもそもそのために遺伝子組み換え食品を発病要因として見極めることが妨げられ、病気との因果関係の否定が可能になっているのです。例えば”アメリカ人は15年来遺伝子組み換え食品を食べているのに病気になっていない”という主張が聞かれるのもそのためです。
「再鑑定が必要だ」という批判には、、、
「それには賛成です。我々も再鑑定を望んでいますが、遺伝子組み換え会社ではなく独立の研究者によるものでなければなりません。現在の欧州食品安全機関(EFSA) の立場ではダメだと言うことです。
と、仏カーン大学セラリーニ氏は、しっかりと反論しています。
モンサントの遺伝子組み換え大豆で新生児のは数が死亡する
ロシアのイリーナ・エルマコヴァ博士の実験とは
ロシアのイリーナ・エルマコヴァ博士の遺伝子組み換え作物(GM)を使った実験結果が驚きです。
ロシア科学アカデミー高次神経機能・神経生理学研究所の生理学者であるイリーナ・エルマコヴァ博士は、モンサントの遺伝子組み換え大豆(Mon40-3-2)をねずみに食べさせる実験を行いました。
その実験結果を、2006年に我が国日本で発表したのです。
それは、世界を驚ろく結果でした。
ラットを3つに郡に分けての実験です。
- A群:通常のラット用の餌に、遺伝子組み換え大豆の粉末を1日当たり5~7g混ぜて与えた。
- B群:通常のラット用の餌、非遺伝子組み換え大豆の粉末を1日当たり5~7g混ぜて与えた。
- C群:通常のラット用の餌だけを与えた。
ラットには妊娠する2週間前から餌を与え始め、妊娠中から授乳中まで、さらに産まれた子供にも同じ餌を与え続けます。
子どもたちがどうなるか、生育状態を観察しました。
その結果・・・
A群の[遺伝子組み換え大豆の粉末]を与え続けたラットは明らかに、発育の悪いものが多かったのです。
下の写真でも分かる通り、、、
生後2週間で体重が20g以下のものが、B・C群では6%なのにたいして、[遺伝子組み換え大豆の粉末]を与え続けたA群では36%も多く観察されました。
陽性対照の母親から生まれた子ども(左)と
GM大豆摂取母親から生まれた子ども(右)のサイズの比較。
体重はそれぞれ40gと19g。
さらに、、、
遺伝子組み換え大豆を食べた母親ラットの新生児は生後3週間で50%を越える死亡率だった。
[遺伝子組み換え大豆の粉末]を与え続けたA群のラットの新生児は、次々に死亡が確認されました。
その、生後3週間までの新生児死亡率は
- A群:45匹中25匹死亡:55.6%
- B群:33匹中3匹死亡:9%
- C群: 44匹中3匹死亡:6.8%
最後に、「ラットの新生児体重と死亡率に与える遺伝子組換え大豆の影響」サイトから考察を抜粋
遺伝子組換え大豆(RR)で作った大豆、又は在来大豆の粉を添加した標準的な飼料を食べさせた雌ラットの生殖を、妊娠、授乳、子どもラットの成長に対する影響を見るために研究した。
生大豆は様々な生理活性物質(レクチン、トリプトファン阻害剤など)や雌のホルモン様物質を含むことが良く知られているので (Pusztai et al, 1998)、これらのデータは大豆紛を含まない飼料を与えた動物の陽性対照群のデータと比較する必要があると考えた。
パンやチョコレートなどおよそ50%の食品に含まれ、広く消費されているこのGM作物が動物の生殖やその子どもにどのように影響を与えるか、そのメカニズムを理解するためには、組織学的、遺伝学的、そして胚毒性学的研究を含む複雑な研究が必要であろう。しかしながら、我々は短期間だけ、交配2週間前から雌ラットに飼料を与え始めるという実験を行わざるを得なかった。
しかし、すでに妊娠中のマウスに問題の飼料を与え始めたシュバート(Shubbert et al. (1998))やブレークとイベンソン(Brake and Evenson (2004))らの研究と違い, 我々の実験では交配2週間前の雌ラットにGMと在来大豆の粉を与え初め、同腹の子どもたちが離乳するまでそれを継続した。
遺伝子組換えのラウンドアップ耐性大豆を与えた母親から生まれた子どもたちは、出世後、陽性対照群(6.8%)や在来大豆摂取群(9%)と比べ、予想外の高い死亡率(~55.6%)が観察された。
また、この群では授乳期間中にわたって子どもが死亡し続けたが、こうした現象はGM大豆摂取群にだけ生じた。同時に、この群の生き残ったラットの子どもの体重は小さかった。このことは、生き残った同腹の子どもの数は通常の約半分と少なく、個々の子どもにとって利用可能なミルクの量は多いはずなのに、驚くべき結果であった。GM大豆紛の摂取でミルクの量や品質が影響を受けていなければ、子どもの成長にとってはより有利な機会が与えられたはずである。
我々のデータから、新生児に対するGM大豆のマイナスの影響は恐らく二つの因子に媒介されているだろうと推定できる。第一は、遺伝子組換え自体の結果、即ち外来遺伝子の挿入が、シュバートと共同研究者によって観察されたように(Schubert and colleagues (1998))、生殖細胞や幹細胞、あるいは胚細胞への侵入がもたらした結果の可能性である。彼らの実験では、緑色タンパク質遺伝子を含むプラスミド(pEGFP-C1)又はバクテリオファージM13-DNAを妊娠中のマウスに食べさせた。 どちらの場合もマウスの細胞に外来DNAの存在が認められた。さらに、GM大豆(Windels et al., 2001)やコメ(Yang et al., 2005)では挿入遺伝子の不安定性が明らかになっている。
第二の要因は、GM大豆のネガティブな影響がGM大豆中の残留ラウンドアップの濃縮でもたらされる可能性である。しかしながら、GM大豆を食べた雌ラットとGM大豆を食べ始めた生き残りの子どもラットにも死亡率増加は認められなかった事から、影響は第一の要因によってもたらされたと考えられる。
これらの事実をみて、私たち消費者は自分で考え判断をするべきでしょう。
ではでは。
参考にしたサイト
サルでもわかる:GMは健康に問題 | サルでもわかる遺伝子組み換え
ノート:「子供を守れるのは親だけ」99%の人間が知らない「安全な食事」遺伝子組み換え
バイテク情報普及会:よくある質問 – 検証編
WIRED:なぜ中国とロシアは「遺伝子組み換え食品を追放」したのか?
更級日記:本当に遺伝子組み換え作物は安全か? 2/イリーナ・エルマコヴァ博士
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ラットの新生児体重と死亡率に与える遺伝子組換え大豆の影響
あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。 |