妊婦から、高濃度の環境ホルモンが検出されたら男の赤ちゃんは、ペニスも短く精巣が小さくなるという
ここ数回にわたって、環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)を取りあげています。
環境ホルモンの弊害のひとつは、生まれてくる赤ちゃんへの影響です。
妊娠中の尿検査で、環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)が高濃度で検出された女性から産まれる男子は、肛門性器間距離(AGD)が短く、ペニスも短く精巣が小さい傾向がある。
という恐ろしい事実。
ですから、、、
妊活中のご婦人は、十分に環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)について学ばなければならない
のです。
環境ホルモンとは何かのおさらい
環境ホルモンは、正式には「外因性内分泌攪乱化学物質」といいます。
環境省では、65の物質が環境ホルモンとして挙げてあります。
◆2016年に規制が検討される化合物(一部以下と重複) ビスフェノールA エストロン 4-ノニルフェノール(p-ノニルフェノール)〔分岐型の例〕 4-ノニルフェノール(p-ノニルフェノール)〔直鎖〕 4-t-オクチルフェノール〔分岐型の例〕 4-t-オクチルフェノール〔直鎖〕 4-t-ペンチルフェノール(p-tert-ペンチルフェノール) 4-iso-ペンチルフェノール(p-iso-ペンチルフェノール) 4-ペンチルフェノール〔直鎖〕 4-ヒドロキシ安息香酸メチル(p-ヒドロキシ安息香酸メチル,メチルパラベン) | ●殺虫剤(代謝物,殺ダニ剤含む) p,p’-DDD o,p’-DDD p,p’-DDE o,p’-DDE p,p’-DDT o,p’-DDT アルディカーブ アルドリン エスフェンバレレート エンドスルファン エンドリン オキシクロルデン〔例〕 カルバリル trans-クロルデン cis-クロルデン ケポン(クロルデコン,キーポン) ケルセン(ジコホル) 1,2-ジブロモ-3-クロロプロパン シペルメトリン ディルドリン トキサフェン〔C10H10Cl8の混合物;例〕 ノナクロル〔例;trans-体〕 フェンバレレート〔光学異性体混合物;例〕 ベノミル ヘプタクロル ヘプタクロルエポキサイド〔ヘプタクロルの代謝物〕 ペルメトリン ペンタクロロフェノール(PCP) マイレックス マラチオン(マラソン) メソミル メトキシクロル(メトキシクロール) リンダン(リンデン,γ-BHC) |
●除草剤 2,4,5-T 2,4-D アラクロール アトラジン アミトロール シマジン(CAT) トリフルラリン ニトロフェン(NIP) メトリブジン | ●界面活性剤関連 p -ノニルフェノール〔直鎖〕 〔分岐型の例〕 4-オクチルフェノール〔直鎖型〕 〔分岐型の例〕 |
●防汚塗料 TBTC(塩化トリブチルスズ) TBTO(トリブチルスズオキシド) TPTC(塩化トリフェニルスズ) 酢酸トリブチルスズ | ●殺菌剤 ビンクロゾリン ヘキサクロロベンゼン(HCB) |
●プラスチック関連 スチレンダイマー スチレントリマー ビスフェノールA | ●可塑剤 アジピン酸ジエチルヘキシル フタル酸ジエチル フタル酸ジエチルヘキシル フタル酸ジシクロヘキシル フタル酸ジブチル(DBP) フタル酸ジプロピル フタル酸ジヘキシル フタル酸ジペンチル フタル酸ブチルベンジル フタル酸ジイソノニル |
●その他 2,3,7,8-TCDF 2,4-ジクロロフェノール n -ブチルベンゼン p -ニトロトルエン オクタクロロスチレン ダイオキシン〔例;2,3,7,8-TCDD〕 ベンゾ[a]ピレン ベンゾフェノン ポリ塩化ビフェニル〔例;3,4,4′,5-TCB〕 ポリ臭化ビフェニル〔例;3,4,4′,5-TBB〕 | ●合成ホルモン ジエチルスチルベストロール(DES) |
ビスフェノールAに関しては、「食品パッケージへの表示義務のないBPA(ビスフェノールA)は、人体に甚大な影響及ぼすことをご存じですか。」の記事で紹介しました。
環境ホルモンは、本物のホルモンと同じようにふるまって体内を攪乱する
環境ホルモンの影響は、とくに野生動物たちに影響が広がっています。
たとえば、、、
などの報告があります。
地球上に無かった化学物質が環境ホルモン
体を攪乱する環境ホルモンは、地球上には無かった物質です。
文明が進むにつれて人間が作ったもの。
たとえば、、、
サランラップに含まれるノニルフェノール、塩化ビニールの手袋に含まれるフタル酸、ごみを燃やすことで発生するダイオキシン、絶縁物質のPCB
などなど・・・
さらに、化学物質ではないものもあります。
大豆に含まれるダイゼイン(植物エストロゲン(ゲネスティン))など
これらの環境ホルモンは、さまざまな人間の部位に弊害をもたらします。
甲状腺、副腎、卵巣、精巣、
下垂体、視床下部、
その他の内分泌機構
甲状腺
甲状腺は、首の喉仏の下に蝶が羽を広げた形で存在しています。
これは、、、
知能の発育が遅れ、身長も140cm以下になってしまう
副腎
副腎は、腎臓の上に帽子のように乗っている器官で、ステロイドホルモンを分泌している。
この、、、
ホルモンは、感染の炎症を抑える役割があります。
また、、、
副腎がなくなると、ショックや感染に弱い病気のアジソン病になってしまいます。
卵巣
卵巣など内分泌器官からホルモンが分泌されて、細胞核の中にあるレセプターと結合します。
が、、、
環境ホルモンがこのレセプターと結合してホルモンのバランスを壊します。
正常ならば、、、
月経が順調であり、卵巣のホルモン分泌が正常に子宮内膜に作用してくれます。
精巣
精巣も卵巣と同様に、ホルモンが分泌されて、細胞核の中にあるレセプターと結合します。
精巣への環境ホルモンの打撃は凄まじく、、、
精子数は1973年時点から2011年にはほぼ半減し、あと40年でゼロになる
という恐ろしい報告もあります。
これは、アメリカ、ヨーロッパそしてオーストラリア、ニュージーランドにすむ男性の精子の数を調査したところ、約4万3000人の男の精液の精子数は1973年時点で精液1ミリリットルあたり9900万個が、2011年には4700万個に減少していた。
という研究結果に基づいた報告でした。
下垂体
下垂体は、重要な器官で甲状腺、副腎、性腺をはじめ、多くのホルモンを支配しています。
下垂体が異常をきたすと、、、
低身長症、逆に成長ホルモンを過剰に分泌する腫瘍により分泌が多くなりすぎると末端肥大症を引き起こします。
視床下部
重要な器官である下垂体は、この視床下部の影響を強く受けています。
また、以下のホルモンが分泌されています。
- 視床下部からは成長ホルモン分泌を刺激する成長ホルモン放出ホルモン(GRH)
- 甲状腺刺激ホルモン分泌を刺激する甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
- 黄体形成ホルモン(LH)分泌を刺激する生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)
ではでは。
参考にしたサイト
環境ホルモン:環境ホルモン
東洋経済:「日本人男性の精子」量も質もよくない衝撃事実
NHK:ニッポン “精子力” クライシス
GQ:止まらない精子減少の行方──人類の終わりのはじまり?
WIRED:「欧米男性の精子数、40年で半減」は少子化につながる? イスラエルでの研究結果から判明
UnsplashのNaja Bertolt Jensenが撮影した写真
UnsplashのAntoine GIRETが撮影した写真
UnsplashのOCG Saving The Oceanが撮影した写真
あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。 |