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日本での肺ガンはがん死亡数でトップ。喫煙者が減っているのに肺ガンが増えている不思議とは。

タバコ

恐ろしい勢いで増加している肺ガン

肺ガンは、我が国でのガン死亡率でトップになっています。

そして、、、

肺ガンの増加率(罹患率)異様なほどに増加している

のです。




今回から肺がんとは何か?!
その原因とは!?


というテーマで数回に分けて掘り下げてみたいと思います。



図:肺がん罹患数の年次推移(1975年~2015年)

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))
http://gdb.ganjoho.jp/graph_db/(閲覧⽇:2020年6⽉3⽇)
教えて肺ガンのこと:肺がん患者の統計より

そして、、、

60歳を過ぎると急激に増加するのも肺ガンの特徴です。

図:年齢別の肺がん罹患率(2018年)

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より作図
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/12_lung.html#anchor2(閲覧日:2022年5月6日)
教えて肺ガンのこと:肺がん患者の統計より

男性が女性の2倍多く、歳をとるほど増加傾向に有り、60歳を急激に増加するのも肺ガンです!

肺ガンは、主要なガンの中でもダントツの死亡率

肺ガンに罹患する人は年々増加しており、さらに死亡率もダントツなのです。

ひところ胃ガンの死亡率が高かったのですが、1998年には胃ガンを抜いて死亡率第1位のガンになりました。

図:主要ながん死亡率の年次推移

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より作図
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#anchor1(閲覧日:2022年5月6日)
教えて肺ガンのこと:肺がん患者の統計より

 





喫煙率は、50年で56%も減ったのに肺ガンは増えている

1966年は、喫煙率のピークだったようです。

  • 男性の喫煙率:83.7%
  • 女性の喫煙率:8.7%

それから、、、

50年以上経って、男性の喫煙率は56%減少し、女性の喫煙率はほぼ横ばい

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)より

私たちは、肺がんの原因はタバコにあるといたるところで教えられています。

ですから、、、

タバコを止めることで肺がんになるリスクを下げる

という努力をとくに世の男性は、禁煙に心がけてきたのではないでしょうか?

しかし・・・このデータをみる限りでは、

喫煙率が下がっても肺がんは増えるばかり

という不思議な現象に襲われています!

肺がんの原因は、タバコ?

 





肺がんとは何か!?

日本で死亡率トップの肺がんとは何ものなのでしょうか?

肺がんには、以下の4つがあるようです。
肺がん発生頻度の高い順に並べると・・・

  1. 線ガン
  2. 扁平上皮ガン
  3. 小細胞ガン
  4. 大細胞ガン
組織型多く発生する場所特徴
線がん肺野部肺の奥のほうのこまかく枝分かれした先にできます。女性やタバコを吸わない人にできることが多く、肺がん全体の半数を占めます。また、症状が出にくいです。
扁平上皮がん肺門部喫煙との関連が大きく、大部分は肺の入り口に近い肺門部にできます。肺がん全体の25~30%を占めます。
小細胞がん肺門部喫煙との関連が大きく、ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため,手術可能な時期に発見されることは少なく,手術が行われることはまれです。
大細胞がん肺野部進行が早く転移しやすい。小細胞がんとよく似た性質を持っており、多くは肺の末梢にできます。
GME医学検査研究所:【肺がん】は喫煙していなくても発病します禁煙者の増えた近年でも肺がんが減らない理由より

線ガンは、肺がんの半数を占めており、
喫煙と関係のあるガンは扁平上皮ガンと小細胞ガンである。

肺門型(中枢区)肺の入り口(肺門)近くの太い気管支から発生したがん。
喫煙との関連が深く、咳や血痰が出ることがある。肺門型と関わりの深い組織は扁平上皮がん小細胞がんです。
  • 扁平上皮がんは、肺門部にできるのが特徴で肺がんの約30%を占める!
扁平上皮がんは、肺門部にできるのが特徴で肺がんの約30%を占める

以上のようなデータをみていくと、、、

タバコ喫煙による肺がん発生との関わりは「扁平上皮ガンと小細胞ガン」であり、肺がんの30%を占める。

ということであり、

タバコを吸わないけれど肺がんになる約半数以上の人は、他の原因に由来する

ということなのでしょうか?

上記で紹介した「GME医学検査研究所」では、次のように説明しています。

最近は喫煙をしない人も増えてきています。
それでも肺がんが増え続けているのは、肺がんの種類により、影響をうける原因が違うからなのです。
一般的には扁平上皮がんや小細胞がんは喫煙が大きな原因といわれていますが、喫煙者ではなくても、肺がんになってしまう可能性は充分にあります。それが腺がんです。
腺がんの場合、喫煙との関係は低く、その原因は大気汚染が深く関わっていると考えられています。

これは、、、

肺がんの半数以上を占めるガン発生の原因は、喫煙との関係は低く、その原因は大気汚染が深く関わっている。

ということになります。

増加している肺がんの線ガンは、
女性で70%。
男性40%。

もう一度、肺のイラストを掲載します。

肺腺がんは増加し、すでに男性の肺がんの40%、女性の70%に
  • 肺門部で発生するのが、扁平上皮ガンと大細胞ガン
  • 肺野部で発生するのが、線ガンと小細胞ガン

肺門部と肺野部の違いは・・・

  • 肺門部は、比較的大きな管があるところ
  • 肺野部は、非常に細かな管が集まっている場所

ということは、、、

増加している線ガンの原因は非常に細かな管にまで侵入しているpm2.5などの粒子の細かいものが肺の奥部まで達して強い発ガンを起こしている

ということになります。




これは、、、

死亡率トップの肺がんの原因は、タバコの影響も考えられるが他に原因がある!?

ということなのかも知れません。



そして、、、

なぜ女性で70%も増加したのか!?

肺がん発生のタバコ以外のガンが得られる原因とは・・・

まず、、、、

身内に肺がん患者がいる場合は、肺がんになるリスクは2倍高い。
それも女性の方が肺がんになりやすい傾向がある。

ようです(詳しい原因は不明)。

大気汚染

肺がん発生の考えられる大きな原因として、、、

大気汚染による肺がん発生。大気汚染物質には、発がん性の化合物や変異原性を示すさまざまな化合物。

微少浮遊粒子は、髪の毛の太さの30分の1という小さな粒子で肺の奥部まで侵入する。

さらに、、、

排気ガスなどの黒煙やPM2.5 (微少浮遊粒子)など。
微少浮遊粒子は、髪の毛の太さの30分の1という小さな粒子で肺の奥部まで侵入し肺がんの線ガンを発生させる。

ことが考えられています。

アスベストなどの有害化学物質

アスベストは、とても便利な建材として重宝されてきた歴史があります。

昭和50年(1975年)に原則使用禁止となりました。

アスベスト(石綿)は、直径0.1〜1μmの微細な繊維が合わさって軽い綿状になった鉱物

アスベスト(石綿)は、直径0.1〜1μmの微細な繊維が合わさって軽い綿状になった鉱物

厚生労働省の説明は以下に[石綿(アスベスト)とは?

アスベスト(石綿)とは
石綿(アスベスト)は、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。
その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が吸入してしまうおそれがあります。以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、昭和50年に原則禁止されました。

女性ホルモンのエストロゲンの影響か?!

タバコを吸わない女性が、肺がんが多く発生していることから、、、

女性ホルモンのエストロゲンの影響しているのではと考えられているようです。

と、いうのは、、、

初経から閉経までの期間が短い人に比べて、この期間が長い人で肺がんの発生率が2倍以上高かった。

Ying Liu, et al.:Int. J. Cancer., 117(4), 662,2005

女性の肺がん発生は、女性ホルモンのエストロゲンの影響か?!

化粧品に含まれるタルク(アスベスト)の可能性

女性にとっては、極めて重要な問題があります。

それは、日々行われる「お化粧」からの肺がん発生のリスクです。

タルクとは
タルクとは、滑石(かっせき)を微粉末にした成分です。その主成分は、含水ケイ酸マグネシウムです。
化粧品の全成分表示でも、医薬部外品の表示でも「タルク」と表記されます。

右記のサイト[ヘアーズレイ:タルクを避けて健康に]から引用します。

ヘアーズレイ:タルクを避けて健康により拝借

米J&J、北米でタルクベースのベビーパウダーの販売停止

米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、19日、アメリカとカナダでタルク(滑石)ベースのベビーパウダーの製造を終了すると発表した。

同製品の長期の使用が卵巣がん、または肺や他の臓器を襲うがんである中皮腫を発生させたとして、アメリカでこれまでに多くの訴訟が起きている。

現在、流通しているベビーパウダーの在庫が終了次第、販売を停止する方針で、コーンスターチベースのベビーパウダーは引続き、北米で販売していく。

(2020年5月25日美容経済新聞よる)

2008年3月17日
初めてベビーパウダーによるアスベスト(石綿)被害の労災認定がでました。

「石綿」健康被害救済法の認定を受けた被害者の45%は、過去にアスベストを取り扱った職歴がないことが、環境省の初の全国調査で判明した。

(ベビーパウダーの主原料はタルクと香料。ほとんどがタルクです。

純度100%のタルクはほとんどなく、様々な鉱物が不純物として含まれています。その不純物の中にアスベストが含まれている場合が少なくいのが現状です)。

(2008年4月10日朝日新聞による)

2012年8月27日
タルクに含まれるアスベスト(石綿)被害で労災認定となる事例が発生

山口県内に住む元准看護師、河村三枝さん(52)が中皮腫を発症したのは、医療用ゴム手袋を再利用する作業でアスベストを吸い込んだことが原因として、山口労働基準監督署から労災認定をうけていたことが27日、分かった。看護師や准看護師が医療現場での作業が原因となるアスベスト被害で労災認定されたのは初めて。

河村さんは、昭和56年~61年、山口県内の産婦人科医院に勤務。出産等の際に使用した医療用のゴム手袋をガス滅菌し再利用する作業に月2~3回従事していた。この作業でまぶしていた粉末「タルク」に含まれたアスベストを吸い込んだとしている。

タルクは、ゴム製品が張り付かないようにまぶす粉状のもので、患者と家族の会によると、専門家の調査では、過去にアスベストが多く含まれている製品も報告されているという。

(2012年8月28日産経新聞による)

タルクベースのベビーパウダーの販売停止







以上が、タバコを吸わない女性に多い肺がん発生の可能性です。

 





ではでは。

 





参考にしたサイト
NHK:死亡率1位のがん「肺がん」 原因・症状・検査・治療法まとめ
教えて肺ガンのこと:肺がん患者の統計
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)
GME医学検査研究所:【肺がん】は喫煙していなくても発病します禁煙者の増えた近年でも肺がんが減らない理由
アストラゼネカ株式会社:肺がんの原因:肺がんとタバコの関係
オムロン:タバコを喫わないのに肺がん。なぜ?
ヘアーズレイ:タルクを避けて健康
エイジングアカデミー:タルクが危険な化粧品成分って本当?美肌の効果と安全性を検証!

 





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タロ

久永 広太郎(ヒサナガコウタロウ)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。