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逆流性食道炎から誤嚥性肺炎になり、あげくには食道がんになる恐れが

疾病・病気

逆流性食道炎を放っておくと誤嚥性肺炎という合併症を引き起こす

新国民病といわれる逆流性食道炎を放ったらかしにしてはいけません

「逆流性食道炎」は、ここ20年ほどでしていて、厚生労働省などの調査では、1970年代2%ほどの患者数だったのが、2000年には15%にも急増して、予備軍を含めると1500万人にもなっています。

実に、胸やけの症状に悩む人は、3人に1人といわれています

逆流性食道炎は30年前に比べ罹患率は10倍

逆流性食道炎
逆流性食道炎

基本的には、この炎症が多い年齢層は中年ではなく高齢者に多かったのですが、近年、生活習慣の乱れが原因なのか、忙しすぎる社会が原因なのか逆流性食道炎になる人の年齢が年々若くなっています。

  • 夜遅くなってからの食事
  • お付き合い帰りの締めのラーメン
  • ながら食事からの睡眠

など、【就寝前4時間は食べてはいけない】のですが、ついつい食べてすぐ寝てしまう人が多いのです。

このような乱れた生活習慣を続けていくと、逆流性食道炎から誤嚥性肺炎になってしまいます。誤嚥性肺炎は、逆流性食道炎の合併症です。

逆流性食道炎の合併症の誤嚥性肺炎とは

唾液を飲み込むとか食べものや飲みものを飲み込むことを【嚥下】といいます。普通の健康な人であれば、この嚥下機能がしっかり働いているので大丈夫なのですが、、、

嚥下機能が低下すると、うまく飲み込めず気管に入ってしまうことを【誤嚥】

と、いいます。

誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や食べものなどと一緒に誤嚥されて、気管支や肺に入ることで発症する疾患のこと

  • 高齢者にとって【誤嚥性肺炎】は、死につながるケースが多いのです

しかし、この問題は、高齢者だけの問題ではありません。

先程あげた、「夜遅くなってからの食事」「お付き合い帰りの締めのラーメン」などで、食べたものが消化せずに胃に残っていると、横になって眠りこけてしまい、逆流して気管に入ってしまうケースが多いのです。

  • 逆流するのは、就寝後2〜3時間後

逆流性食道炎からバレット食道が怖い

食道の粘膜は、強烈な胃酸に耐えられない粘膜です。ですから、胃と食道には[噴門]という逆流しないようにするものでガードしています。ですが、消化できなかったものが逆流をはじめると[噴門]を通過して、食道に侵入します。

「バレット食道」とは繰り返し胃酸にさらされた食道の粘膜が、胃の粘膜と同じようになることをいいます

また、、、

  • 1度、【バレット食道】になったら、元の食道の粘膜に戻ることはできません

ですから、少しでも早く逆流性食道炎を治療する必要があるのです。

逆流性食道炎がトリガーになって、やがて食道がんに

もともとは生活習慣の乱れから、引き起こされた逆流性食道炎ですが、度重なる逆流で【バレット食道】になります。

欧米の医療機関の調査報告ですが、、、

  • 【バレット食道】になっている人は、健康な人と比較して食道がんを発症する率は30倍以上

にも、高まるとあります。

【バレット食道】から食道がんの「腺がん」へ

食道がんは、「扁平上皮がん」と「腺がん」の2種類があります。

  • 「扁平上皮がん」は、おもにアルコールやタバコが原因
  • 「腺がん」は、逆流性食道炎で変質した【バレット食道】が原因

日本では、扁平上皮がんが9割ほどで、腺がんは1割です。
欧米では、逆流性食道炎によるバレット食道が原因の腺がんが6〜7割となっています。

ですが、、、

逆流性食道炎が、30年前に比べ10倍になっている現象を考えると今後【腺がん】は増えていきます

逆流性食道炎から誤嚥性肺炎へ

【誤嚥性肺炎】とは、飲み込む力がなくて、細菌が唾や食べものと一緒に気管に入ってしまい炎症を起こすことと説明しましたが、

食べものが逆流することで、気管に入ってしまうことから起きることもあります。

逆流性食道炎と誤嚥性肺炎
逆流性食道炎と誤嚥性肺炎

食道まで逆流した胃液が、誤って気管、肺に入り肺胞に“傷”ができ、その修復のためにコラーゲンなどが増加して間質が厚くなります。このような症状を『特発性肺線維症』といいます。

  • 『特発性肺線維症』は、肺ガンの発症率が高まります
  • 『特発性肺線維症』の約2割は経過中にがんを合併する
  • 『特発性肺線維症』でありながら喫煙を続けるとさらに確率は高くなる

逆流性食道炎は、肺ガンだけでなく喉頭がんにも

喉のがんといえば、喉頭がんですが、逆流性食道炎はこのがんにも関係しています。

寝ているときに胃液の逆流が起き、目覚めた時に「喉の痛みを感じる」ようになり、、、

  • 喉頭炎を患います

この喉頭炎が、【喉頭がん】を引き起こす場合もあります。

ですから、逆流性食道炎の怖さというのは、、、

  • 逆流性食道炎から誤嚥性肺炎に
  • 逆流性食道炎から誤嚥性肺炎、そして肺ガンに
  • 逆流性食道炎から喉頭炎に
  • 逆流性食道炎から喉頭炎、そして喉頭がんに

などなど、ちょっとした生活習慣の乱れから引き起こされる逆流によって、私たちの命を奪う疾病につながります。

ですから、、、

生活習慣の乱れを修正して、よい生活習慣を身につけてください

逆流性食道炎から誤嚥性肺炎にならないための自分でできるケアとは

逆流性食道炎にならないための気休めの寝方

本来であれば、夕食後4時間空けてから寝るべきですが、どうしても仕方がないこともあるものです。そんな時のために、食べたものが逆流しないようにする寝方があります。

それは、、、

左側を下にして寝ることです

左側を下にして寝ることで、胃の内容物は、食道の方へ逆流しないようになります。同じように右側を下にすると、カンタンに逆流するので注意してください。

逆流性食道炎にならないための寝方
逆流性食道炎にならないための寝方

嚥下障害のチェックをしよう

まず、飲み込む力があるのかチェックしましょう。あまり飲み込む力がない(嚥下障害)や嚥下機能が低下していないか調べてください。

また、あなただけでなくご家族にもチェックするのもおすすめです。以下の項目で2つ以上が当てはまっていたら黄色信号。嚥下障害に関わらず、ほかの疾病が隠れている場合が考えられます。

食事中やお茶の時間にむせることが多くなった味噌汁やお茶、唾液などの水分で、むせてしまいます
飲み込んだあとも口の中に食べ物が多く残っている、のどに食べ物が残っているような感覚がある十分に飲み込めていない状態です
飲み込んだ後にしゃべると、ガラガラ声になる十分に飲み込めていない状態です
体重の減少が目立つ他の病気の可能性もありますが、栄養が十分に摂れていない疑いも
発熱や微熱を繰り返す嚥下障害だけでなく、誤嚥性肺炎を起こしているかもしれません
睡眠中も、むせたり咳込んだりする横になっているときも唾液が気管に入り込んだり、のどに残っていた小さな食べ物が知らない間に気管に入り込んでいたりすると起こりやすい

週刊現代:「逆流性食道炎」が食道がん・胃がん・肺がんにつながる可能性

誤嚥性肺炎にならないためのケアをしよう

食べる作業は、生きていくことの基本です。噛む、飲み込むといった機能を低下させないようにケアをしましょう。

このケアの大切なところは、日々続けることです。続けることで、嚥下機能を向上させましょう。


顔や首、口周辺のマッサージ時間のある時やお風呂に入って筋肉が柔らかくなっている時などに、指や手の甲でやさしくマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげます。何よりも自分が気持ちいいのが魅力的です。家族にやってもらっても良いでしょう
肩や首のストレッチ両手を上げたり下げたり、首を傾ける、回すといったストレッチをすることで、飲み込みに必要な筋肉が鍛えられるほか、誤って食べ物が気管に入ってしまった際に、外に出す力をアップします
早口言葉や、4つの音を繰り返し言ってみるお孫さんがいる方は、一緒に早口言葉を言ってみたり、口を大きく動かしながら『ぱたから・ぱたから・ぱたから』のように音を繰り返したりすることが、噛む時や飲み込みに必要な口の動き筋肉の動きをスムーズにする練習になります
口の体操鏡を見ながら顔を大げさに動かしてみたり、変な顔をしてみたりすることで、自然と噛むときに必要な筋肉を鍛えられます
歌を歌う日常的に歌を歌っている方は、それだけで誤嚥予防になっています!歌うことで腹筋が鍛えられ、食べ物が気管に入り込んだ時に外に出す力が高まります。
慣れ親しんだ曲や家族との思い出の曲、子供の頃に歌った懐かしの曲など、思い出して歌ったり、歌詞を読んだりすることも、嚥下訓練になり、それ以外の介護予防の役割も果たします

週刊現代:「逆流性食道炎」が食道がん・胃がん・肺がんにつながる可能性

前屈みの姿勢を直す【猫背解消ヨガ】

お腹を圧迫する姿勢は、逆流性食道炎にとってはよくありません。とくにお腹に圧をかける【猫背】は大敵です。この前屈みの姿勢を正してくれるヨガのポーズが【猫背解消ヨガ】

  1. 両手をついて、うつぶせになり、手のひらは肩の横に置いて、足は腰幅に開く。おでこと足の甲は床につける
  2. 鼻から息を吸いながら、手のひらで床を押し、太もものつけ根から上半身を起こし、そのままの姿勢で、吸って吐いてを3回くり返す
前屈みの姿勢を直す【猫背解消ヨガ】
前屈みの姿勢を直す【猫背解消ヨガ】
タロ

久永 広太郎(ヒサナガコウタロウ)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。