厚生労働省では、入浴中の急死者数は年間1万9000人
前回も「浴室熱中症」のことを取りあげました。
この問題を取りあげて繰り返し述べたいのは入浴中の死亡事故が増加しているからです。
厚生労働省の研究班の発表によると、風呂場での推定死亡者数は年間約1万9000人。
全国の交通事故の死亡者数が2839人(2020年警察庁発表による)なので、およそ6倍になる。
ダイヤモンド:「風呂場での死亡事故」は若者にも起こり得る、知っておくべき簡単な予防法とはより。
有名人も多数浴室で死亡しています。
たとえば、、、
歌手の松永ひとみさんは、53歳の若さで亡くなりました。風呂場での転倒による脳挫傷でした。
2016年には女優の白川由美さん
2020年にも元プロ野球監督の野村克也さんなど。
体力に自信がありそうな方でも浴室での事故は注意が必要です。
たとえば、、、
消費者庁に寄せられた80代のおばあちゃんの死亡例では、
入浴して20分後くらいに様子を見に行くと浴槽内で意識がなかった
この例は、意識が飛んだということもあり、確実に『浴室熱中症』の症状です。
この『浴室での事故』の傾向としては、
- 65歳以上で全体の9割を占める
- 入浴中の死亡者の過半数が80歳以上の後期高齢者
- 12~2月の冬場の3ヶ月間に起こる
というものです。
寒冷地で入浴中の死亡事故が起こらず、比較的温暖な地域で発生する
浴室乾燥機などのメーカー「リンナイ」のヒートショック予備軍調査では、以下のようなリスクを抱えている都道府県は、
- 20分以上の長風呂
- 脱衣所や浴室の暖房設備の不備
- 一番風呂
ワーストは、、、
- 1位:大分県
- 2位:宮崎県
- 3位:千葉県
という温暖な県が並びました。
リスクが少なかった県は、、、
長野県、青森県、和歌山県
この結果を見れば、、、
暖かい地域でも冬場の脱衣所はとても寒くヒートショックの備えが必要だ。
ということになります。
年間約2万人が浴室で亡くなっている。
ダイヤモンド:「風呂場での死亡事故」は若者にも起こり得る、知っておくべき簡単な予防法とはからですが、、、
厚生労働省によると、風呂場での推定死亡者数は年間約1万9000人とありましたが、、、
東京歯科大学・市川総合病院救急科部長の鈴木昌氏(日本で初めて大規模な入浴事故に関する調査を行った人)の見立てでは、それ以上多くの人がなくあんっていると語ります。
我々は、'12年10月~'13年3月までの半年間、東京都、山形県、佐賀県の3つの地域の消防署に協力してもらい、入浴中に救急車を要請した4593件を調査しました。
その内、死者は1528人で、高齢になるほど、死亡率は高くなっていました。
すると、、、
この調査をもとに、人口構成から全国の死者数を推測した結果、2020年には、年間約2万3000人が亡くなっていると我々は考えています。
そして、、、
今後、高齢者人口がピークを迎える2035年には、2万5000人以上がお風呂で亡くなる時代が来ると考えています。
さらに鈴木氏の調査では、、、
心電図を撮っても心筋梗塞の兆候は1%しかなく、脳のCTを見ても、脳卒中を起こしていた人は10%未満
その一方で、、、
『頭がボーッとして、力が入らず、浴槽から出られなくなった』と、熱中症のような症状を訴える人が非常に多かった
ということ。
また、、、
入浴中に救急搬送されてきた患者は、体温が下がるに伴って、意識障害が回復していったという。
さらに、調査では以下のようなことも判明しました。
- 銭湯や公共浴場、温泉での死亡者数は少ない
- 寒暖差が激しい露天風呂の死亡事故の報告はほぼない。
以上のことから分かることは、、、
寒暖差よりも長い時間お湯に浸かっている事の方が「死亡事故」にいたる確率が高い
ということになります。
入浴剤のリスクとは
ダイヤモンド:「風呂場での死亡事故」は若者にも起こり得る、知っておくべき簡単な予防法とはから
ぬるま湯ならヒートショックも防げるし、安全だと思っていたのですが……。
あるとき、私が仕事で帰るのが遅くなり、声をかけても返事がないので、風呂場を見に行くと、顔を下向きにして、浴槽に浸かっていたのです
この例で注意しなければならないのは、、、
『入浴剤』
入浴剤は血流をよくして、コリをほぐす効果がありますが、血管が拡張するので同時に血圧が上がります。
なので、、、
普通のお湯より、体温が上昇しやすいので、入浴時間は10分以内を心がけたほうがいい
浴室熱中症の予防方法を考える
2019年、千葉科学大学の黒木尚長教授が行った入浴事故の調査では、、、
入浴中に体調を崩した人のうち
熱中症および熱中症の疑いがある方が84.2%
ヒートショックが7.1%
その他・不明が8.7%
でした。
なので、入浴中の事故を防ぐためには、浴室熱中症にならないことが大切です。
たとえ健常な人(体温が37度)であっても、すぐに体温が上昇し40度に達します。
- 湯温が41度では33分
- 湯温が42度だと26分
ですから、、、
入浴時間の目安は、体温が40度にならないように10分以内で終わらす
ことが大切です。
最後に、東京都市大学人間科学部教授 早坂信哉氏の助言
湯船で意識を失っている場合は、すぐにお湯の栓を抜いてください。
もし寒そうにしていたらバスタオルなどで体を包んであげて、とにかく水の中の状態から早く脱出させること。救護者が足を滑らせたりする二重事故の恐れがあるので、自分より体の大きい人を無理に浴槽から出そうとしないで、救急車を呼んで助けを待ってください。
さらに、、、
救護者が足を滑らせたりする二重事故の恐れがあるので、自分より体の大きい人を無理に浴槽から出そうとしないで、救急車を呼んで助けを待ってください。
ではでは。
参考にしたサイト
中日新聞LINKED地域医療ソーシャルNEWS:入浴事故の原因でいちばん多い「浴室内熱中症」とは?
日刊ゲンダイ:「ヒートショック」から老いた親をどう守る? 年間約2万人が入浴中に死亡
ダイヤモンド:「風呂場での死亡事故」は若者にも起こり得る、知っておくべき簡単な予防法とは
あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。 |