西部開拓史とミネラル#3

西部開拓史とミネラル#3

アメリカの西部開拓史とミネラルは、一見何の関わりもないように思えます。

が、実は西部開拓とミネラルとは切っても切れない関係にありました。

映画の西部劇やテレビ番組の『大草原の小さな家』などは、ミネラルとただならぬ関係にあったのです。

ミネラルを求めて西へ西へ

 ピューリタンが、新天地を求めてアメリカ大陸に渡りました。超広大なアメリカ大陸。彼らは、最高の農場を作るべく肥沃な大地を探し求めたのです。見渡す限りの広大な大陸。

ある者は高い平原へ行き、ある者は大河の流域に住みつきました。高い平原に住んだ者たちは、だいたいが力が強く経済的にも少し優位な人々。一方、低い下流域に住んだ人びとは、土地は狭く比較的低所得層だったのです。じつは後年、この差が大きな物語を生みだすのです。

高い平原に住みついた人びとのその年の収穫は、小麦や野菜は大豊作です。その翌年も大豊作。また、次の年も大豊作。彼らは、大喜びのまさに勝ち組でした。

しかし、喜びも束の間、どうしてだか年を経るごとに収穫が減っていきます。その内、ほとんど収穫できなくなるのです。

仕方なく、次の広大な土地を求めて移住をはじめました。

あの『大草原の小さな家』の家族のように。

良い土地を求めて、西へ西へと向かったのでした。


一方、大河の河川域に住みついた人びとは、土地は狭いけど豊作は毎年続きました。
しかし、毎年やってくる洪水、水害に悩まされることになります。

広大な土地を持つ人びとと狭いけど豊作が続く人びと。どちらが良いのでしょう。

なぜ、西へ西へと向かったのか?

さて、肥沃な土地を求めて人びとは西へ西へと向かったのでしょう。

ここに「ミネラル」が、西部開拓に大きく関係しています。

というのは、作物が大量に採れるのは「ミネラルが関係している」からです。
ミネラルが豊富なところは、生物も植物も豊富に存在していることが分かります。

たとえば、エジプトはナイル川の毎年の氾濫によって豊かで肥沃な大地になっています。魚が大量に獲れる場所は、川から流れ出る栄養が豊富なプランクトンを育み魚が寄ってきます。これは、山から流れ出る豊富なミネラルによって賑わうのです。若狭湾や銚子沖など。

西部開拓では、最初の数年はミネラルが豊富なので豊作ですが、ミネラルが無くなると次第に作物は生えなくなります。河川域と違いミネラルが無くなると大地には栄養が無くなり、作物も摂れなくなるのです。
ミネラルが、豊作・豊漁のキーワードだったのです。

こうして、西部開拓は進んだのでした。


しかし、この西部開拓も農薬の登場によって終演します。

農薬の発明は、農業に莫大なエポックをもたらしました。ミネラルが無くても植物が育つのです。窒素・リン酸・カリをうまく配合した化学肥料の登場。また、作物を食い荒らす害虫を駆除する農薬。これらの登場によって、広大な土地のアメリカの農業は一変しました。

UnsplashのJames Baltzが撮影した写真のJames Baltzが撮影したイラスト素材

野菜を工業的に作る時代の登場です。

農薬と化学肥料をもってすれば、ミネラルが無くとも同じような作物がわんさかと摂れるのです。アメリカの農業は、息を吹き返したように思えました。

ガン大国アメリカから
癌を克服した国へ

喜びに沸くアメリカでした。が、暗い影が次第にアメリカ大陸を襲います。それは「癌大国アメリカ」でした。

1960〜1970年代のアメリカは、食生活の欧米化や喫煙率の上昇によりがん患者が急増し、まさに「がん大国」の絶頂期でした。日経メディカル:世界のがん研究をリードする米国がん研究所

そして、1971年、ニクソン大統領が一般教書演説で「がん撲滅」を宣言(がん戦争)。予算を大量に投入し、米国国立がん研究所(NCI)の権限を大統領直属へと大幅に強化しました。この運動が功を奏して癌死亡率は1991年から2020年の間に約31%減少しました。

これは、癌になってから治療するのではなく、癌にならないカラダ作りを行った成果です。医療費の増大により国家財政が危機に瀕したアメリカは、「病気になってから治す」のではなく「病気にならない体を作る(予防)」へと舵を切ります。

1977年、ジョージ・マクガバン上院議員を中心とする委員会が、約5,000ページに及ぶ報告書(通称:マクガバンレポート)を発表しました。

「現代の病気(がんや心臓病)は、肉、乳製品、砂糖、塩分の摂りすぎによる『食原病(食事による病気)』である」と断定。高脂肪・高カロリーなアメリカの伝統的食生活を反省して、高糖質の穀物や野菜・果物、魚を中心とした食事への転換(食事目標)を国民に提示した結果でした。

これは、ミネラル不足の影響だと思います。
ことほど左様に、ミネラルと生物の関係は密接なものであるといえます。

塩を食べる象塩を食べる象

動物たちは知っています。写真は、野生の象が塩分が豊富に含まれた土を食べるところです。このようなシーンは、野生の動物によく見られるものです。

自然のミネラルには、塩分をはじめ、70種類以上のミネラルと微量ミネラルが含まれているといわれます。

そのすべてが大切な栄養素なのです。


おわり。

ブログに戻る

久永 広太郎(ひさなが こうたろう)

あいがとや店主。有限会社グランパティオ代表。グラフィックデザイナー。アートディレクターを経て情報誌「パティオ」を発刊し(2004年〜2015年)自然災害や公害問題、健康被害などの問題に目覚める。現在は、オリジナル商品などのネットショップの運営。週末は、もっぱらアウトドアにひたすら勤しむ。