前回の新聞で、マイクロバイオームについて記事にしました。マイクロバイオームとは、人間が生存する上で欠かせない常在菌の作用でした。
私たちの細胞は、60兆個ともいわれていますが、この細胞1個に対して9個の常在菌が存在しています。なんと9倍もの常在菌が働いてくれているので私たちは生命を維持できていることがわかってきました。
遺伝子をみると人間の遺伝子の数は、ミジンコよりも8000個も少ないというデータがアメリカのインディアナ大学で報告されています。あの小さなミジンコよりも遺伝子は少ないのですね。それでも豊かに人間が生きていけるのは、微生物が持っている働きによって助けられているのです。
ですから、酵素やホルモンなど10万種以上の複雑なタンパク質などを常在菌に依存し、栄養として摂取できてます。
その常在菌の数は、3万種ともいわれ、総重量は数キログラム、総数は100兆個にも達する膨大な量になります。こうして常在菌に頼って生きているのが私たち人間なのです。人間が1人で生きているのではなく、微生物とともに共生しています。切っても切れない大切な仲間といえます。
ところが、この素晴らしい関係を破壊する動きが現代になって出てきました。それが、化学肥料や農薬などの出現です。さらに近年、F1種野菜というのも出てきました。スーパーなどに並んでいる野菜たちは、ほとんどがF1種だといっても過言ではありません。人間と常在菌の良好な関係を断ち切る存在たちです。
化学の力によって、人工肥料で野菜は育ち、人工甘味料や添加物などによって味覚を操作されています。その結果、成人病、アレルギー、ガンなどの疾病が登場しました。微生物を阻害した結果だといえます。本来の野菜は、地中のミネラルなどの栄養素を吸収して育ちました。
しかし現在の野菜は、人工肥料の力で形だけは野菜でありながら中味は空っぽなのです。昔のミネラル豊富なホウレンソウは、栄養が豊かでポパイというアニメにもなったぐらいでしたが、現在では6倍の量を摂らなければ同じ栄養価にならない状況です。
このように食が荒れてくれば、人の営みも荒れ果ててきます。近年の目を覆うような凶悪犯罪も関連していないとはいえません。この問題をさらに深掘りしていこうと思います。