過度な殺菌を行う住環境が、病原菌への弱体化を作った
ここ3か月、アレルギー問題を取り上げています。今から50年ほど前には無かったアレルギー性鼻炎やアトピー、ぜんそくなどの疾病がなぜ増えたのか、そしてこの問題にどう立ち向かえばよいのかを探ってみます。
今回は、アメリカで出版され話題となった本『汚れは良い』という本から。米国シカゴ大学の微生物専門者たちの研究がまとめられたものです。例えば、「住環境の過度の消毒や滅菌が、子どもたちから免疫力を奪っている」「子どもたちをもっと土や動物などで汚れさせたほうがいい」「現代の生活の中では、ばい菌を気にして生活するべきではない」むしろ、ばい菌とふれ合う機会が多いほうが免疫の発達に役立つ。などと、今の私たちの置かれている環境とはほぼ違うアナウンスをしています。
世界の無菌室化が止まらない
『汚れは良い』という本から。米国シカゴ大学の微生物専門者たちの研究がまとめられたものです。例えば、「住環境の過度の消毒や滅菌が、子どもたちから免疫力を奪っている」「子どもたちをもっと土や動物などで汚れさせたほうがいい」「現代の生活の中では、ばい菌を気にして生活するべきではない」むしろ、ばい菌とふれ合う機会が多いほうが免疫の発達に役立つ。などと、今の私たちの置かれている環境とはほぼ違うアナウンスをしています。
現在の私たちの住環境は、殺菌し続けています。周りは、なんでも殺菌、除菌だらけです。手にある常在菌は私たちを守るために活躍しています。が、一度殺菌されてしまうと復活するのに丸一日かかってしまいます。毎日殺菌していたら、常在菌の復活は有り得ないのです。昔は、O157などの食中毒なんて「お腹いたい」ですんでいました。O157は、大昔から存在していたにもかかわらず1996年に初めて問題となり、「怖い」存在になりました。
シカゴ大学で微生物生態系を研究する科学者ジャック・ギルバート氏は言います。「ばい菌への曝露はほとんどの場合で子どもの健康に実に有益でした」また、「落ちたものの5秒ルールは存在しません。たとえば、微生物が付着するのに数ミリ秒しかかからない。つまり、0.1秒でも 5秒でも同じことです」「家庭内の住環境の表面を消毒したり殺菌します。その中で免疫系は過敏になっていく」と。
私たちは、体内に「好中球」という小さな白血球の兵士の細胞を持っています。これが異物を探し回るのに時間がかかると、好中球は炎症を起こし、最終的には、花粉のような異物を見ると炎症を爆発的に引き起こす。正常な働きをしている好中球が過剰な殺菌の中で「狂っていく」のです。それが喘息や湿疹を引き起こし、食物アレルギーなどの症状になるのです。
ですから、「カラフルな緑黄色野菜が豊富な食事をさせ、砂糖を極力減らすように努力すべきです。大地や自然や動物とふれあい続けることでの病原菌は脅威にはなりません。それはむしろ、より強力で有益な免疫を子どもたちに与えてくれるでしょう」とギルバート氏は、語っています。